ネットに影響される人の日記

ネットに影響される人の日記

影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2020年5月

5月が終わります。4月分はこちらです。

htnmiki.hatenablog.com

 

自宅で映画を観る習慣が無かったので4月はほとんど観れずに終わってしまいました。4月も書きましたが視聴環境が13インチのノートPCと8インチのタブレットしかないのもアレだったのでゴールデンウィークに低価格帯のプロジェクターとスクリーンを買ってとりあえずそれなりに観れるようにしてみました。

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部屋が狭いのでスクリーンは70インチです。ほんとは100インチとかにしたかったけど安いプロジェクターだと投射距離がかなり必要なので無理だったんですよね。短焦点プロジェクターだと1メートルで100インチとか映せるらしいけど高価なんすよねえ。まあ初めてのプロジェクターなのでこんなもんです。というわけで5月分、行ってみましょう。

 

43. ギャングースAmazon Prime Video)
貧困問題と犯罪に関連したルポで著名な鈴木大介のノンフィクション「家のない少年たち」を原案とした漫画を実写化した作品です。彼の著作は読んだことがないんだけどネット記事はちらほら見かけていたこともあり気になってた作品です。配られたカードで勝負するしかないけどクソみたいなカードしかなかった場合どうするかという問題を突きつけられるとなかなかつらい。私自身は下流寄りの中流で育ったのでそれなりに恵まれているほうだしなあ。最底辺に福祉が行き渡らないと治安が悪くなると言われているけどその治安の悪さを実感できない世界の人たちがルールを作っている以上はどう転んでも救われないんだよなあ。ちょっと前に読んだ「ケーキの切れない非行少年たち」にも通じるところがあると思う。テーマや方向性は違うけど2018年に観た「87. ハード・コア」に近いものを感じた。篠田麻里子は本作といい「ビジランテ」といいクズ役が板についてきて良い感じだな。血縁関係のない家族モノに弱い私は危うく泣くところでした。


44. パターソンAmazon Prime Video)
静かな作品です。何も起こらない作品です。そんな作品が私は好きです。このタイプの作品はおもしろいとかつまらないという基準ではないのでオススメしづらいですね。そういうのが好きかどうかだけなので。近年急増中のアダム・ドライバー萌えの人にはオススメです。というかとっくに観てるか。基本的に山も谷もない日常が繰り返されるだけなので自分自身もそんな生活で鬱屈している人が観ると辛くなるかもしれないので気をつけましょう。まあそんな日常にもちょっとした出来事はあって軽く吹き出すところもあったりして「これこれ、こんなもんだよなあ、人生って」と私は思ったりするタイプです。ただ、最初から最後までずっと違和感を拭えなかったのがこの夫婦の関係性ですね。惹かれ合って結婚したんだろうけどひとつ屋根の下で暮らしながら少しズレているというか結構ズレていて共同生活がよく成立してるなと第三者的には不思議でならない。とにかく奥さんがフリーダムすぎて見てるぶんには微笑ましいところもあるけど当事者だとなかなか厳しそうで。まあ夫婦関係なんて外野にはわからんもんですな。終盤に永瀬正敏が出てきて驚いた。若干ファンタジーなキャラクターなんだけどこの作品の空気にはマッチしていて良い感じでした。ググったら1989年のジム・ジャームッシュ監督作品「ミステリー・トレイン」の主役で、同監督作品への出演は今作が2回目だとか。歴史だなあ。


45. カメラを止めるな!リモート大作戦!YouTube
2018年に公開されて話題をさらった「カメラを止めるな!」のチームが完全リモートで制作した短編作品です。先日アイドルグループのでんぱ組.incが楽曲制作、レコーディング、MV制作を1週間ほどで行った「なんと!世界公認 引きこもり!」をYouTubeで公開したことに驚きました。

youtu.be

しかしカメ止めチームのフットワークの軽さとスピード感もハンパないっすね。30分程度の短編だし正直そんなに中身の詰まったものではないけど今のこの状況に伝えたいことはストレートにわかるし十分すぎると思う。「終息したらあれやりたい、これやりたい」なんて言おうものなら「今そんなこと言ってる状況か!」なんて自粛警察に取り締まられかねない状況で、作品の中だけでも「終わったら全部やる」と言っちゃうのはちょっと青臭いけどキライじゃない。「カメラを止めるな!」の後の「イソップの思うツボ」も「スペシャルアクターズ」も微妙っちゃ微妙なんだけど上田慎一郎監督のインタビューや関連記事を読むとこの人は良い意味でだいぶ頭がおかしいので多分これからも映画を作り続けるだろうし忘れた頃に「またあいつか」みたいに話題を振りまいてほしい。しかしアル中の細田さん本当にアル中に見えて心配になるレベルw


46. 私は人間Amazon Prime Video)
個別に書いたのでこちらをどうぞ。


47. ブルーバレンタインAmazon Prime Video)
公開当時「カップルで観てはいけない」などと言われてた作品です。カップルで観るという選択肢がないのでひとりで観ました。泣いてないです。男運がない女性の受難物語、なんて一言で言っちゃうと叩かれますかね。元彼、現夫、上司が全てクソという。いずれも甲乙つけがたいけど人の弱みにつけ込もうとするクソ上司がキツイわー。こういう話はどちらにも同情できる部分がありがちだけど今回は女性側の気持ちで観てしまった。とはいえ終わりかけの男女の合意のあるエッチなシーンて最高ですね。人の心はデジタルじゃないわけで。結局本当のところは当人同士にしかわからないわけで、ともすれば当人ですらよくわかってなかったりもするわけで。こんなトラブルに巻き込まれない独り身はまた大勝利ですかね。泣いてないです。ミシェル・ウィリアムズがとにかくチャーミングで最高。私自身が離婚家庭の子だったこともありラストシーンはつらかった。この作品も観てよかったけど今年1月に観た「2. マリッジ・ストーリー」のほうが終わる男女モノとしては好みかな。アップリンク渋谷で観たんだっけ。(遠い目)


48. スノーピアサーAmazon Prime Video)
なんだこれめちゃくちゃ面白かったぞ。冒頭からの展開や設定でこれは子供向けなのかなと思いきや最終的に善悪の彼岸ニーチェじゃないほう)というかマイケル・サンデルの問いというかそういうのをぶっ込まれてホエエーッとなりました。よくある階級設定の乗り越えかたがゲームのステージを1つずつクリアしていくような様は笑っちゃうし爽快だし、バトルしないステージもシュールというかやっぱり寿司食いたいよねーとかサウナ入りたいよねーとか踊りたいよねーとか、最下層ステージとの格差ハンパなさすぎて現実感が薄いんだけど閉鎖された列車内だから目立つだけでこれそのまんま世界だなーとか、閉鎖生態系の維持はバランス大事だよねーとか、この監督は人間の欲望を描くのが上手いんだろうなーと思いました。「アルキメデスの大戦」の菅田将暉みたいになんでも測るぽっちゃりおばさんに私も測られたいです。しかしティルダ様すげーな。なんだあれは。あと、タンパク源の素を探ってはいけない。(ソイレント・グリーンじゃないよ)


49. her/世界でひとつの彼女Amazon Prime Video)
人格を持ったAI(人工知能)と人間の関係の物語です。と書き出してみたものの人格とは?人間とは?と考えざるを得ないような描かれ方で、まあSFでではよくあるネタかもしれないけど図らずも先日観た「46. 私は人間」も思い出したりしてなかなかというかめちゃくちゃ面白かったです。人間とAIが極めて自然に会話していて序盤から「あれ?これがあればもう十分では?」と私自身も思ってしまいそうな感覚になったのは我ながらヤベーなと。主に男女関係の物語になっているのでその描写が気持ち悪いと感じる人もいるかもしれない。終盤に訪れるコミュニケーションの断絶とも言える場面では以前読んだ山本弘の「アイの物語」も思い出すなど。つまりAIの思考は非言語で成り立っており、人間は言語で思考するため、厳密に伝えることができないというアレです。では、人間同士ならそれは可能なのか?とか考えると面白いですね。AIが自身の急速な進化に戸惑ったり情報の海へ深く潜る姿は岩明均の「寄生獣」も浮かんできたりしました。2013年の作品が描くちょっと未来を2020年に見るというのもなかなか面白かった。スカーレット・ヨハンソンがAIの音声を演じていますが私はあのハスキーボイスが大好きなのであの声で耳元で囁かれたら辛抱たまらんです! (追記)ウィキペディア見たらスカーレット・ヨハンソンの吹き替えが林原めぐみだとわかって吹替版も観てみたらこれまた辛抱たまらんですね。いやー、これは良い作品だ。


50. スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団Amazon Prime Video)
惚れやすい?移り気?浮気性?な青年の新しい×2彼女の元カレたちとバトルする格闘ゲームオマージュなコメディでした。映像もゲームのノリで展開するシーンが多くてもっと子供っぽい作品なのかと思ったけどアクションが予想外にしっかりしていてとても面白かった。というか本当に子供向けの作品もちゃんとしてるのが多いのかな。そのへんの知識がないのが悔やまれる。見た目もキャラも正直モテそうにない主人公スコットに途切れず彼女ができるのがアレですがアレくらい勢いで生きるほうがいいのかもなあと非モテとしては思いますね。邪悪な元カレ軍団が控えている最新の彼女ラモーナが実際に妖しい魅力を放っていて良いキャスティングだなあと。見覚えある顔だと思ったら3月に観た「36. ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」のちょっと抜けてるハントレスの人だった。目が強いよねこの人は。他にもアベンジャーズの2人(クリス・エヴァンスブリー・ラーソン)や斉藤慶太斉藤祥太兄弟が出てたりおもしろキャスティングも見どころですかね。あと、「1、2、3、4!」で始まるパンクロックが好きな人は劇中バンドの曲も楽しめると思います。私はラモーンズ大好きマンです。ちなみに劇中曲はBECKがかなり作ってるとか。納得。

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51. スーパー!(DVD)
公開当時に「キック・アス」か「スーパー!」か、みたいな感じの評判だった気がする本作ですがタイミングが合わずに見逃していました。さえない夫が妻を寝取った男から妻を取り戻すためにスーパーヒーローになる単純な話ですが、スーパーヒーローに憧れる凡人という意味では「キック・アス」と似てるけど動機がさらに個人的というかそのぶん若干の怖さがあるというか狂気っぷりは本作のほうがより濃いかもしれない。主人公のフランク(レイン・ウィルソン)自体もだいぶヤバいんだけど後の相棒リビー(エレン・ペイジ)の狂いっぷりがヤバすぎて最高でしたね。ググったらエレン・ペイジは同年に「インセプション」のアリアドネも演じてたのか。いい意味で頭おかしいな。このリビーのバックグラウンドをもう少し掘り下げてみてほしかったかも。ちなみに暴力&グロ描写がこんなにすごいとはおもわなかったので笑っちゃいました。そしてB級感あふれる触手プレイ。ジェームズ・ガンの前作が「スリザー」だし触手とか虫みたいなやつは得意なんだろうけど「アベンジャーズ」でしか知らない人はビビるよなこれ。スコピルも音楽がとても良かったけど本作の音楽もカッコイイ曲が多くて最高でした。あとでサントラもチェックしよう。特に冒頭のタイトルバックで流れるTsarの「Calling All Destroyers」はギターポップパワーポップが好きな人にはたまらないと思うので必聴ですね。

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52. ブラッドショット
4月3日以来の映画館です。約2ヶ月、長かったな〜。今はまだ基本的に旧作ばかりかと思ってたら新作があったので観てみました。つーか公開延期しなかった本作は緊急事態宣言が解除されなかったらどうするつもりだったんだろう。ま、いいか。というわけで本作ですが、つよつよのヴィン・ディーゼルや、えちえちのヴィン・ディーゼルが出てきたと思ったら、拉致されて殺されてナノロボットを注入されて復活して、つよつよのつよヴィン・ディーゼルになって、ところがどっこいゴニョゴニョゴニョ……みたいなやつでとっても楽しいです!←小3の私が憑依中 いやなんか本国じゃヴィン・ディーゼルの無駄遣いというかちょっと微妙じゃね?みたいな評価らしいんだけどヴィン・ディーゼルが暴れまくるんだからこれでいいだろという感想です。悪党の描かれ方がまたこういう感じかーみたいな部分とかちょっと詰めが甘くねとか投げっぱなしかよみたいな部分とかあるにはあるけど全体的に楽しかったからOKですね。漫画原作の本作はどうやらマーベルやDCみたいにユニバース化したかったらしいけどなんやかんやあって大人の事情でその構想は立ち消えになって本作単発となってしまった模様。最後に大事なこと、KT(エイザ・ゴンザレス)がナイスおっぱいで最高でした。

 

緊急事態宣言が解除されてしばらくは旧作の上映ばかりかなと思って近所の映画館のサイトを見たらまさかの新作があったのでとりあえず観てきました。2ヶ月も映画館に行かなかったことは映画を観るようになってから初めてだったのでなんか変な感じでしたねえ。当面は席数を減らしての営業となるようでまだまだ先は見えませんがとりあえずスタートしたのは本当に良かった。ミニシアターがどこまで耐えられるか、大手シネコンがどこで見切りをつけるか、悲しい結末へ向かわないことを願うばかりです。

 

ではまた6月分で。

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