ネットに影響される人の日記

映画2020年2月

2月が終わります。1月分はこちらです。

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というわけで1年分をまとめて書くと誰も読まないのではという疑問から始まった1ヶ月分ずつ書いてみようのコーナーも2ヶ月目です。まあ1ヶ月ぶんずつ書いて誰が読んでるんだって感じですが一言メモから多少増量しているので単純に自分用って感じでもありますね。コロナコロナで騒がしい2月でしたが基本的に楽天的な私は相変わらず映画館へGOです。というわけで閏年閏日である今日観た「レ・ミゼラブル」までまとめて行ってみましょう。

 

13. テリー・ギリアムドン・キホーテ
B級っぽい冒頭でどうなるかと思ったらあっという間にのめり込んでました。とても面白い怪作だと思う。映画の中の監督と役者も狂ってるけどこの映画自体の監督と役者も狂ってる。コメディ要素が強いけど物作りをする人は結構キリキリするんじゃないだろうか。そういえば「ラ・マンチャの男」がドン・キホーテの話だと初めて知りました。ドン・キホーテが「ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ」という名前だったとは。浅学でお恥ずかしい限りです。ちなみに一番好きなシーンはオルガ・キュリレンコが「I'm the boss's wife.」を連呼するところです。やけくそでめっちゃ興奮するわー。


14. ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
アナ・デ・アルマス、良い役者だなー、どこで見つけてくるんだろうこういう人、と思ってググったら「ブレードランナー2049」や「イエスタデイ」に出てるのか。どちらも見逃した作品でした。私のアンテナとは。EP8でやらかしたとの評価を見聞きするライアン・ジョンソンが脚本・監督ですがとても面白いミステリーでした。責任感の塊であるキャプテン・アメリカの無責任チャラ男っぷりだけでごはん食べたいです。ミステリーって時々立ち止まって「今のどゆこと?」みたいに考えたくなるんだけど映画だとその間も止まらず進んでしまうので見逃してるところがちょいちょいありそうなのがつらいっすね。今作がヒットしたらシリーズ化されるのかな。そういやあの婆ちゃんを見て東野圭吾の「赤い指」を思い出した。たしかあんな婆ちゃんいたよね。


15. ハスラー
アメリカ的なストリップクラブでのポールダンスとかを見ても「すごいなーかっこいいなー」とは思っても全然興奮しないんですが皆さんはどうですか。ストレートに「かっこいいものを見に行ってる」んだろうか。謎だ。で、ジェニファー・ロペス、50歳、すげーな。コンスタンス・ウー、絶妙な顔だよねえ(褒めてる)。つーかちょっと前に話題になってた「クレイジー・リッチ!」の人なのか。クレイジーリッチの出演者を見たら「ラスト・クリスマス」の男性も。やっぱり話題作は観ておかないと遅れちゃうなあ。物語としてはどっちが被害者かわかんねえなってのはあるけど人生で一度もバブルを味わったことのない人から見たらどっちもどっち感もあるしお金って怖いですねという月並みな感想。友達っていいな、俺にこんな友達いたかな、みたいなことを考えてしまった。「私たち、コービー&シャックだね!」という台詞で「あぁ……」となりました。コービーが亡くなって2週間です。週末禁錮という刑罰があることを知った。アッシャーが本人役で出ててワロタ。


16. 9人の翻訳家 囚われたベストセラー
ミステリーとしては先日観た「ナイブズ・アウト」のほうが好きだけど、途中でちょっと雑じゃねと思うところもちゃんと回収されていて上手いなと。「テリー・ギリアムドン・キホーテ」で美しさを炸裂させていたオルガ・キュリレンコに隠れがちだけどローズマリー役のサラ・ジロドーがとてもキュート。そしてアレックス役のアレックス・ロウザー、私はショタ趣味はありませんがこの可愛い顔で人気出るんだろうなあ。物語自体は「普通に出版してれば誰も不幸にならなかったのでは」という身も蓋もない感じだけどとりあえず勢いで楽しめる105分なので十分かと。終盤の翻訳家(≒言語オタク)ならではのやり取りはなかなか面白かった。監督のレジス・ロワンサルって「タイピスト!」も撮ってるのか。あの作品、大大大好きです。


17. ロニートエスティ 彼女たちの選択
厳格なユダヤコミュニティの話。百合展開は最高なんですが信仰と性的指向の衝突という重すぎる問題があるのでひたすら辛い。はてな界隈でもたまに見かける「信仰を持つ家庭に生まれた子の自由とは」みたいなことにも触れていて、特にエスティとドヴィッドの決断をコミュニティの人たちがどう評価するのか気になる。自身は敬虔な信徒だが子供は自由であってほしいと願うエスティの苦悩は計り知れない。若い頃は宗教アレルギー的なものがあった私ですが多少なりとも様々な世界を見てきた今は信仰の存在や意味や意義それらの重要性をほんの少しは理解しているつもりで「神様任せ」なんてラクなものではないことは想像できますし目安や拠り所があっても日々苦悩してるんだろうなと。あと合唱シーンがたまらんです。合唱やりたいなあ。


18. 犬鳴村
コトのルーツについてはちょっと未消化でしたがあまり期待せずに観ればそれなりに観れるそれなりのホラー映画かなあ。結局アレは混血的なことなのか呪いのバケモノ的なことなのか。いい人に見える人みんなアレってことなのか。基本的には犬がベースなのかと思いきや終盤にバッキバキなのが来てちょっと笑った。ますますルーツがわからなくなる。失禁しながらのお散歩はちょっと気になりますよね。許されるならやってみたい。←おい 「ダンスウィズミー」に続いて三吉彩花の主演作なので父兄としても嬉しいけれど贅沢を言えばもう少しパッとした作品も欲しかったり。次回作にも期待しましょう。


19. 37 Seconds / 37セカンズ
何を言っても嘘っぽくなりそうでこういう作品の感想は本当に難しい。ちょっと話がズレるけど「同情」の使い方って難しいなと思う。使い方なんだよなあ。ダメだ全然書けないな。いつもは適当にスラスラ書けるんだけど。こんなときもあるか。無理してもしかたない。あ、終盤の「ある出会い」の場面は久しぶりに映画館で涙が止まらなかったな。とにかく観てよかったと思える作品でした。


20. ザ・ピーナッツバター・ファルコン
「37セカンズ」に続いてこれまた書きづらいなあ。ここには表現されていない大変な状況がたくさんあるんだろうけど、だからといってこの作品が嘘なわけでもないだろうし、この作品はこれでいいのだと思う。そんな作品が私は好きです。自分の精一杯の努力や思いやり(だと信じていたもの)が視点を変えるとまったく逆だったと突きつけられたときの動揺や瞬発的な怒りや悲しみはつらいね。シャイア・ラブーフの一皮むけた感ハンパないな。これもとにかく観てよかったと思える作品でした。


21. 1917 命をかけた伝令
「全編ワンカット(に見える)」をアピールしすぎてそれしか印象に残らない人たくさんいそうだよね。それはそれで凄いことだとは思うけどなんだかなーと思っちゃいます。本当に映像としては凄かったしワンカット以外でも見どころはたくさんあるんだけど、要は伝言のために走るだけなので物語としてはわりと単純で、途中にも、えっ?戦場でそうなの?みたいなところもあるし、まあそういうのは神様目線なのかもしれないけど、アカデミー作品賞ノミネートでハードル上がってしまったので少し物足りなかったかなあ。つーかこんだけ重要な任務に保険かけないのもどうなんだ。ただ、指揮命令系統の貧弱さと、今日の命令も明日の命令でひっくり返される怒りとも諦めともとれない感情は戦争モノならではの見どころではありましたね。ところで出演シーンがほんの少しだったベネディクト・カンバーバッチのギャラはどれくらいなんだろう。


22. 前田建設ファンタジー営業部
これはスルーして「AI崩壊」を観ようと思っていたらあちこちから良い評判が聞こえてきてしまったのでこっちを観てみたらとても面白かった。冒頭は「あー芸人とか使っちゃって何これ今どきヘタウマみたいな感じなの?きっつー」とか思いかけたけどそのへんはあっという間にどうでもよくなって様々な分野のモノづくりオタクたちの本気に無気力人間が影響されていく様を見るのは爽快感すらありますね。たぶんどこかで自分もそんなふうに影響されたいみたいな願望があるんだろうね。まあ私はただの無気力人間なんですけど。土質のヤマダ、機械のフワ、たまらんね。だいぶ前にネットで話題になってた頃にチラ見したことはあったけどこうして映像化されて改めて「ガチでモノづくりしてる人・現場カッコイイ!」と思いました。巻き込まれ、各所との調整、突然の仕様変更、社内の腫れ物、サラリーマンあるあるもてんこ盛りなので楽しみ方はいろいろあるかと。あとエンドロールが楽しかった。ちなみに脚本はヨーロッパ企画上田誠。「夜は短し歩けよ乙女」、「ペンギン・ハイウェイ」、「すみっコぐらし とびだす絵本とひみつのコ」、ヒット連発してるなあ。


23. 彼らは生きていた
「1917 命をかけた伝令」を観たあとに答え合わせ的にググってたら町山智浩氏があわせて紹介していてこりゃセットで観たほうがよさそうだなということで渋谷のイメージフォーラムで観てきました。いやーちょっと言葉にならないっすね。膨大な当時の記録映像を再編成して白黒で音声無しの映像を彩色して一部には読唇術?読話?で彼らが実際に話していただろうことがアフレコされていて、さらに実際に兵士として戦場にいた人の生き残りたちが回想のナレーションを入れる。中高生くらいの男子たちが国威掲揚に乗せられ憧れて入隊したものの待っていたのは地獄とかもうほんとに子供を犠牲にするのだけはやめてくれと。そして帰還兵の扱いね。「しばらくどこ行ってたんだ?」と。そりゃねえだろ……とクソデカため息ですよ。本物の映像と本物の元兵士の重みがハンパないっす。しかしイギリス人は本当にいつでもどこでも紅茶を飲むんだな。


24. スキャンダル
映画「ソーシャル・ネットワーク」の予告編で使われていたレディオヘッドのCreepが本編で使われなかった予告編詐欺事件を皆さんは覚えていますか?本作「スキャンダル」の予告編で使われていたビリー・アイリッシュのbad guyが本編で使われておらずまたしても予告編詐欺事件が発生してしまいました。ちなみにこの春に公開の「007 No Time to Die」ではビリー・アイリッシュの同名曲が主題歌だそうなのでさすがに使われるはず。で、本作はガチガチの男社会に君臨するセクハラレイプマンと女性たちの戦いで面白いという表現は不適切かもしれないけど面白かった。つーかFOXニュースの内部が面白すぎる。FOXニュースで働く民主党員のレズビアンとか本当にいるんだろうか。いやまあいるよなあ。私の会社は政治色ゼロだけどそもそも会社と一心同体ではないしねえ。そして帝王セクハラレイプマンクソ雑魚ナメクジ扱いするルパート・マードックが結局最凶という。おそろしいおそろしい


25. Red
私には「昭和の価値観のラブロマンス」に見えてしまってちょっと苦手なタイプでした。つーか若手の島本理生がこういうの書いてそこそこ売れるってことは普遍の真理的なものがあるんだろうか。わからんなあ。ググったら島本理生ナラタージュを書いたのが15年前で現在36歳だとか。もはや若手じゃないし私も年を取るわけだ。死を目の前にしたとき、女は覚悟を決めて、男はウジウジする、みたいなのがムズムズしますねえ。そんなウジウジキモイマンと化した妻夫木聡をひたすら見せつけられるとなかなかキツイっす。まあ夏帆の魅力は爆発してたのでそれだけで十分ではありますが。昨年の虚無大賞「楽園」で唯一私の体が反応した片岡礼子が本作にも出演していてまた反応してしまいました。ありがとうございます。ところで監督の三島有紀子って凄い名前だなと思ったら実際に三島由紀夫にちなんで付けられたそうな。強く生きられそうですね……


26. ミッドサマー
「ヘレディタリー/継承」でひたすら胸糞悪さをぶっ込んできたアリ・アスターの2作目(まだ2作目!?)にしてアリ・アスター節ともいえる不快感に全力で襲われる感じたまらんね。異常な世界をストレートに見せられて価値観をガンガン揺さぶられるんだけど揺さぶられてる以上はまだ「まとも」でいられてるわけだがその「まとも」な自分の正しさが本気でわからなくなる感じも同時に味わえてひと粒で2度3度おいしい作品ですね。どこかで監督か誰かが言ってた「自分でコントロールできないことの不安、恐怖」みたなやつが全編に通じていて、そこに乗っかったらどうなるかという。女性(人間)の傷を癒やすのは言葉ではなく全力の共感であるというのは異常な世界でも正常な世界でもおそらく共通しているんだろう。画面の中にネタが散りばめられているようなので配信が始まったらもっかいじっくり観てみるか。


27. 屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ
アル中、非モテ、低所得、そんなフリッツ・ホンカが場当たり的に雑な殺人を犯し続ける作品です。実話ベースだそうですが彼自身の掘り下げなどは無くひたすら彼の日常を描いてそこに殺人もあるという感じてある意味ではこれが正しいシリアルキラーなのかもしれないなんて思ったり。世に出るシリアルキラー物は思想や人物に何かしらの魅力があるように描かれがちだけど実際に蓋を開けてみたらこんな感じに「場当たり的で雑」なんだぜみたいな。とにかくひたすらクソを見せつけられるしそこそこグロいのでそういうのが苦手な人は気をつけましょう。とりあえずチンコにマスタードは反則だと思います。そういえば方向性は違うけど「半地下の家族」と「屋根裏の殺人鬼」を同時期に観れるのは面白いですね。(屋根裏は70年代ドイツの話ですが)


28. プレーム兄貴、王になる
インド映画、約3時間、なげーよ、と思ったらあっという間でした。いやーまた傑作観ちゃったなー。兄貴の魅力と王女の可愛いが爆発していました。ひょんなことから王子の替え玉になりずっと憧れていた王女と出会い嘘から出たまこと的な展開で巻き起こるファンタジーなラブコメって感じですが登場するキャラがいちいちかわいいし歌やダンスは間違いないし衣装も映像も目がくらむほど美しいしこのところコロナコロナで疲弊した社会においてこんなにも楽しくて幸せな気分になれる3時間は本当に最高ですね。映画館も休業し始めてるしそもそもこんなときに不要不急の外出はどうなんだって感じかもしれないけどこんなときだからこそ観る価値がある作品だと思います。拗ねる王女可愛すぎかよ。


29. レ・ミゼラブル
「友よよく覚えておけ、悪い草も悪い人間もない、育てる者が悪いだけだ」ジャン・バルジャンもコゼットも出てこないほうのレミゼです。パリの闇、フランスの闇、格差、多民族、腐敗、差別、暴力、てんこもり。他人事ではないと感じる今日このごろ。とにかくみんな余裕がないからピリピリしている。1対1だと穏やかに対話できるのに集団になるとねえ。どうすればいいのかわからない。あの火炎瓶の行方に私は何を思えばいいのか。せめて誠実でありたいと思うが不誠実な社会に真正面から対峙するとき傷つくのは圧倒的弱者の私自身だ。困ったなあ……

 

ではまた3月分で。

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