ネットに影響される人の日記

ネットに影響される人の日記

影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2022年3月

3月が終わります。2月分はこちらです。

htnmiki.hatenablog.com

 

2月に続いてメンタル低調期ですな。なんか気分が弾けない。暖かくなったと思ったら寒の戻り。地震とか停電とか。せっかく桜が咲いてるのに普段の業務をサボりすぎて土日に仕事してたり。せめて美味いもんでも食わないとやってられんわということで食ってたら減量が全然捗らないし。ンモー、だれか助けてー。というわけで3月分、行ってみましょう。

 

18. 愛なのに
とても好きな作品でした。クソな現実とほどよいファンタジーのバランスが丁度いい。そしてナイスおっぱい。古本屋店主の三十路男が常連客の女子高生に告られるがかつて告ってフラレた女性を忘れられずその女性が結婚することを知りその女性が婚約相手の浮気を知って仕返しに古本屋店主と浮気しようと連絡するが1ミリも気持ちがないからそういうことができるわけで激しく傷つく古本屋店主だけど結局そういうことになっちゃってもうぐっちょんぐっちょんなわけですが前述のJKの清涼感のおかげでなんか良い話に見えてきて鑑賞後はスッキリするというおもしろい作品でした。まったく伝わってないと思うけど本当にこの作品好き。まあJK役の河合優実が本作でも最高だったということです。「サマーフィルムにのって」、「由宇子の天秤」に続いて素晴らしい。JKが古本屋店主に初めて名前を呼ばれた(呼ばせた)ときの僅かに上がる口角。たまらんね。古本屋店主の手紙はポリコレ勢に叩かれそうだけど一線は超えてないし私はファンタジーとして受け入れて楽しんだ。城定秀夫と今泉力哉が互いに脚本を提供しあってR15+指定のラブストーリー映画を製作するコラボレーション企画「L/R15」の1本、だそうなのでもう1本の「猫は逃げた」も観てみるか。


19. リング・ワンダリング
華やかさはまったく無い静かな作品でした。好き。漫画家志望の建設現場フリーターが制作中の作品に描くニホンオオカミを上手く描けずにいたところ作業中の建設現場で犬の頭部のような骨を見つけて持ち帰り描いてみるがどうも上手くいかず深夜の建設現場で成り行きで出会った女性が怪我をしたのでおぶって送るとなにやら古臭い写真館の娘だったようで晩メシまでご馳走になってしまうが所々会話が噛み合わず違和感はあるもののお礼を言って帰宅する際にその女性が制作中の漫画に描いているキャラクターに似ていることに気付き1枚描かせてほしいと頼むがペンが無く描けないためそれなら私の顔を忘れないようしっかり覚えておいてほしいと見つめ合うふたりを見て私の涙腺が緩むという作品でした。時代を超えるファンタジー好きなんだよなあ。ただ、制作中の漫画の実写パートは正直よくわからなかった。そして衝撃のラストカットは本当に申し訳ないけど笑ってしまった。もう少しなんとかならなかったのか。つーかどこだよそれ!


20. ブルーサーマル
好きな作品でした。大学デビューを果たすべく気合を入れて上京したツルタマがテニサーの体験中に航空部のグライダーを壊してしまい成り行きで体験しに行ったら天才パイロット倉持が乗せてくれてハマってしまい倉持もツルタマのセンスに気付いてしまうことから始まる青春体育会系ムービーといったところ。グライダーの専門用語とかはよくわからんけど単純に飛んでみたいと思える。ただちょっと展開が早すぎるというかさすがに尺が短すぎるというかそうはならんやろ感があるのはしかたないか。中盤ツルタマの天敵が現れるんだけど彼女の気持ちは刺さる。どこに行っても持ち前の愛嬌で人々の中心になってしまう人(ツルタマ)、のそばにいる人(天敵)、の鬱屈感。しかも前者に天性のセンスなんてあった日にゃ。作品としては大団円で終わらせるしかないんだけどそんなに簡単に消えねえよなと。あと航空事故の扱いが軽すぎてワロタ。さすがに雑すぎじゃね。


21. ポゼッサー
観たあとに感想書き忘れてた。だいぶ忘れてる。殺し屋の物語。殺し方が特殊で第三者の肉体を乗っ取り対象を殺してから乗っ取った肉体を抜けるときに自殺するよう仕込んでおき完全犯罪が成立、という。おもしろかったんだけどいまいちピンとこない部分もあって。殺し屋と乗っ取られる人は物理接触が不要なんだけど、乗っ取られる人にわりとハードな施しが必要なので結構リスク高いよなあとか。殺し屋組織の全貌が明かされないのでてっきり小規模な組織かと思いきやのラストとか。その可能性を知ってたらもう少し用心したんじゃねみたいな。乗っ取った肉体の人格に押し戻されるのはなぜなのかとか。良い意味でグロい映像、現実が揺らぐ感覚、良くも悪くも吐き気がする、そんな作品でした。絶賛してる人が結構いて私はいろいろ理解できていない予感。


22. THE BATMAN-ザ・バットマン-
とても良かった。実はティム・バートンとかクリストファー・ノーランバットマンを観ておらず初体験がザック・スナイダーの「バットマンvsスーパーマン」というクソニワカです。それは置いといて本作めちゃくちゃ面白かった。バットマン作品は基本的に暗いと認識してるけど本作も例に漏れずとにかく暗い。この暗さにロバート・パティンソンが似合いすぎ。ブルースでないときの顔が超絶セクシー。テネットの坊や感どこいった。ブルースが唯一信じ縋ってきたものの裏切りでさらに墜ちるブルース最高ですね。劇場型謎解きミステリーも飽きないしめちゃくちゃ暗いけどめちゃくちゃ娯楽作ですね。一応追われる身なのにクソうるせえバットモービルたまらん。リドラーはひとりじゃないっぽいしまだ続くんだろうな。次回作はよ。終盤の水攻めは画面が暗いからはっきりしないけど水が綺麗でそういうところは相変わらずといった感じ。ゾーイ・クラヴィッツのスタイルやべーな。フィギュアかよ。そういやニルヴァーナのネヴァーマインドが昨年30周年だったとか。光陰矢の如し……


23. スターフィッシュ
正直よくわからなかった。死んだ友達グレイスに世界を救う謎解きを託されたオーブリー。陰謀論なのか真実なのか。困惑するオーブリーに謎のクリーチャーが襲いかかる。異世界に迷い込んだのか、異世界が紛れ込んだのか。謎解きを進めるオーブリーはたびたび幻覚を見る。そこには見たくない過去も。謎解きが完結して「扉」を閉じたオーブリー、のはずがそれは開く手順だった。オーブリーはみんなが消えてしまえばいいと思っていた。オーブリーのことを理解していたのはグレイスだけだった。という物語なの? 見たくない過去がなんなのか匂わせてるんだけど私が確証を持てなくてぼんやりしてしまった。それがそうだったとして個人の過ちですべての消滅を願いそうなってしまうという展開に今さら感が強いというか。パートごとには面白いところもあるんだけど全体を通すと正直なんじゃこりゃという。冒頭、死んだグレイスの部屋に忍び込んで故人を偲ぶシーンはとても良かった。ふとオナニー始めるのも良いよね。←おい←そういう映画じゃありません


24. アンネ・フランクと旅する日記
恥ずかしながら未読のアンネの日記。その日記をベースにアンネのイマジナリーフレンドであるキティが現代のオランダ・アムステルダムの博物館の日記から飛び出し現代と過去を行き来しながらアンネの足跡をたどる。こんな言い方もアレだけどタイムリーすぎてきつい。という感想は安全圏だからかもしれないと思うとやるせない。難民の処遇について訴えるアンネが眩しい。


25. ハングリー/湖畔の謝肉祭
私はこれを楽しめるほどのB級マニアではなかった。久々に時間の無駄遣いという感じでしたね。つらい。まあ予告の臓器が落ちるあたりでうっすらヤバさはありましたが全編通してヤバかった。フェスで楽しんだ若者たちが現地で出会った少し影のあるソロ女性をひっかけてもう一つのフェスに向かう途中で道に迷ってたどり着いたところに食人ファミリーが暮らしていて仲間が食われたりするんだけど反撃してみると食人ファミリーが弱すぎて楽勝じゃねと思ったところに裏切り者が、みたいな話。演技、カメラワーク、照明、BGM、すべてしっかり低クオリティでせめてひとつくらい見どころはと頑張ってみたけど何もなかった。洋画ホラーの見どころのひとつセックスシーンですらケツもおっぱいも見えねえしなんなんだこれは。配給会社は抱き合わせで掴まされたんだろうか。不安になる。


26. ガンパウダー・ミルクシェイク
「っぽい作品」のエッセンスを集めてデフォルメしたような楽しい作品でした。殺し屋の母スカーレットが消え一人で育ったサムも殺し屋稼業で暮らしていたが成り行きで幼女エミリーと行動することになり雇い主から命を狙われ頼った相手はかつて母の仲間だった3人でなんやかんやあって母と再会して全員集合で雇い主一派と戦ってドッタンバッタンする物語です。古臭さもあるんだけど狙ってやってんのかな。アクションはいまいちだった気もするけどあまり気にせず楽しめました。銃器は使うんだけど他にトンカチ、ハンマー、ナイフ、手斧、チェーン、トンファーとか出てきてワロタ。作家・作品に武器が紐づいているのも面白い。雑な日本文化というか日本語が出てくるので要チェックです。ラストは「キングスマン」の教会乱闘シーンを思い出す。ただし、ダイナーでは誰であろうと銃器を預けるというルールは守った上での切り抜けを期待してたのでそこは残念ポイント。そういや幼女エミリーがマーティー・フリードマンに見えました。中盤のバトルシーンで「come on, come on」と歌が聞こえてテンション上がるなど。ジャニス・ジョプリンの Piece of My Heart です。学生時代に大好きだった渡辺美里が大好きだったジャニスもよく聴いてたので。懐かしいのう。

www.youtube.com


27. 猫は逃げた
城定秀夫と今泉力哉が互いに脚本を提供しあってR15+指定のラブストーリー映画を製作するコラボレーション企画「L/R15」の1本です。今月1本目に観た「愛なのに」とセットです。離婚届に押印する場面から始まる終わった夫婦の物語。モノやカネについては話し合いで解決済み。残るは猫のカンタの親権。これが決まらないとすっきり別れられない。そんな折にカンタが姿を消す。という感じです。ゴシップ誌編集者の夫とエロ漫画家の妻それぞれが不倫していてやることやってるの見ると世の中の夫婦みんなこんなんなのかなと思いかけるけどそんなことないよなあ。(童貞並みの感想) なんやかんやあって4人が一堂に会する終盤はリアルなのかファンタジーなのかいずれにせよ滑稽でなかなかおもしろい。みんな自分に都合よく生きてるんだよなあ。「愛なのに」に続いて本作もおちんちんが元気になりましたが少し控えめだったかな。ただ、尻はこっちのほうが良かったかも。手島実優のプリケツ素晴らしかった。あとこちらは猫映画でもあるので猫たまらんです。なお、猫派・犬派などという不毛な争いには与しません。(=^・^=)


28. ベルファスト
監督ケネス・ブラナーの自伝的作品らしい。かなり悲惨な物語のはずなんだけど常に中心に小学生バディがいるのでそれほど重くならずに観られるのが良いね。60年代終盤の北アイルランドベルファストプロテスタントが支配的な地域の一角にあるカトリックの集落。プロテスタントによるカトリック弾圧。バディはカトリック集落に住むプロテスタント家庭の子。好きなあの子はカトリック。「北アイルランド」で適当にググるだけでいくらでも出てくるそういう歴史。そんな物語なのにちょいちょい笑えるシーンがあるのはそれだけ多くの人に観てほしいからかなあ。一家で映画館でチキ・チキ・バン・バンを観るシーンで何故かこみ上げてしまった。圧倒的なエンタテインメントとの初接触っていいよね。その前の「ラクエル・ウェルチは教育的なの?」はワロタ。バディの父ちゃんが結構クズでたまらん。結果良い奴なんだけどねえ。生まれ育った土地の一部と化した人にとっての移住のハードルの高さは現代では理解されづらい気もする。そういやこの父母が美形すぎてなんなのもう。特に母ちゃんカトリーナ・バルフは「フォードvsフェラーリ」でもヤバかったっすね。たまらん。


29. ナイトメア・アリー
流れ者が見世物小屋の興行にたどり着き読心術を身につけ稀代のペテン師になり止まらぬ野心ゆえに破滅への道をひた走り人の尊厳を踏みにじる者が受ける報いはやはり尊厳を踏みにじられることだったという因果応報の物語でした。って書くとかなり単純なんだけどそこはギレルモ・デル・トロおなじみの異形の造形であったり衣装や美術の美しさそして錚々たる役者陣のおかげで厚みを増すので物足りなさはありませんでした。特にケイト・ブランシェットルーニー・マーラ、傑作「キャロル」のふたりの絡みが本作では一切無かったのが少し殘念だったけどそれぞれ強烈でしたのう。ケイト・ブランシェットのラスボス感ハンパないわ。ラストシーンの「ですよねー」は想像できたけどそれでもゾクッとしました。

 

ではまた4月分で。