ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2022年2月

2月が終わりました。1月分はこちらです。

htnmiki.hatenablog.com

 

1月の終わりくらいからなんとなく低調期で2月に入ってからは本格的にいろいろダメでなかなか厳しい1ヶ月でした。映画も当たり外れが大きくて一体私は何を見せられているんだみたいな虚無タイムはさすがに辛いっすね。そんな中でも「麻希のいる世界」は本当に良かった。これも結局「観なきゃわからん」ので虚無タイムのリスクを負っても観るしかない。3月は気分上々といきたいのう。というわけで2月分、行ってみましょう。

 

9. 麻希のいる世界
何者にもなれない由希が才能あふれる麻希と出会い好意を抱き憧れ執着した結果として関わる者みな何かを失うなかなか辛い物語でした。主演のふたり、新谷ゆづみと日髙麻鈴は元さくら学院の生徒です。私は薄いながらも父兄の末席に連なるものでして一応観ておくかなというスタンスでしたがいやいやなかなかの良作でした。こんな無名の元アイドルふたりの主演作とかどうせアミューズパワーだろ的評価を軽々超える作品ですね。さくら学院史上最も異色(だと私は思う)日髙麻鈴、さくら学院史上最も印象深い生徒会長の新谷ゆづみ、ふたりの特性が生かされた役柄は、「さよならくちびる」で目をつけてくれた塩田明彦監督だからこそということかもしれない。特に日髙麻鈴が当時のライブの即興演技コーナーで見せた怪演は強烈に記憶している。ガチオタではない私でも卒業生の活躍は嬉しいもんです。あとで新谷ゆづみのオーディー漁って聴いてみるか。そういえば由希(新谷ゆづみ)と麻希(日髙麻鈴)を見ながらぼんやり思い出していて薄い記憶を頼りに後で検索して出てきた僅かな情報から1993年NHK 放送のドラマ「魚のように」の君子(藤谷美紀)と清文(高岡早紀)だとわかった。30年近く前のことで正直内容はあまり覚えてないしふたりの関係性も別物なんだけど、由希(新谷ゆづみ)と麻希(日髙麻鈴)、君子(藤谷美紀)と清文(高岡早紀)が私の中でリンクした、というお話。以下、インタビューとか。

https://rollingstonejapan.com/articles/detail/37081/1/1/1
https://w-online.jp/archives/5903/
http://www.cinema-life.net/interview/i2203/
https://cinemore.jp/jp/erudition/2335/article_2336_p1.html
https://todorokiyukio.net/2022/01/31/9593/
https://www.cinematoday.jp/review/10540
https://www.wws-channel.com/cinema/321263.html
https://vector-mag.com/feature/f-cinema/8487/
https://tokushu.eiga-log.com/new/124653.html


10. 大怪獣のあとしまつ
ググってください。噂通りでした。つらい。出てる役者みんな嫌いになりそう。罪深い。それでも土屋太鳳は可愛かった。それだけが救い。


11. 地球外少年少女 後編「はじまりの物語」
なんとなく匂わせていた那沙の謎はセブンポエム原理主義だったのかー。というわけでというわけでジョン・ドーの一員であることを告白シーンした那沙が「人類のため」に彗星を地球に落とし人口の3分の1を殺す作戦を実行中。登矢のダッキーと大洋のブライトはフレーム融合するがジョン・ドーらのAIは知能リミッターが解除されており太刀打ちできない。どうする!? という感じで前編に続いて後編もテンポ良く飽きさせない。心葉の覚醒、登矢のルナティック、死んだはずのセブンに触れたふたりの決断は。いやーおもしろかったー。セブンは問う。「人類と人間は同じなのか?」「人類と人間は行動原理が異なる」「人類のために人間の犠牲は必要」「人間同士でフレーム融合は可能か?」別に高尚なアニメを見たいわけじゃないけどこういうテーマをサクッとブチ込んじゃうのがSFの醍醐味のひとつかねえ。人間を遥かに超越したAIの出す結論が人間に都合良すぎるのは作者がまだ人間を諦めていないからかな。諦めたSF、諦めないSF、どちらも面白いけど、この作品はこれでよかったと思う。そういや映画「メッセージ」のラストを思い出すなど。過去も未来も同時に存在するあの世界はその後どうなったんだっけ。原作読むか。


12. 355
ジェシカ・チャステインダイアン・クルーガールピタ・ニョンゴファン・ビンビンペネロペ・クルスが強くてカッコいい作品でした。終わり。と言うとそれだけかよって感じですがだいたい合ってる。コロンビアのヤバげな男の息子が開発したヤバげなデバイス、こいつは世界中のあらゆるIT機器をリアルタイムでハックして見上げた空を飛んでいるあの飛行機をポチッとなで爆発墜落させたり街の電力供給をカットしたりなんでもできちゃうとんでもない代物。これが悪党に渡らないように世界各国の凄腕エージェントたちがそれぞれの思惑で動く中で互いの素性を知るまでは敵、知ったあとは敵の敵は味方、ということで共闘することに。てな感じで面白いことは面白いんだけどなんとなく古臭さを感じてしまった。なにがアレだったんだろうか。久しぶりに見たペネロペ・クルスが相変わらず可愛すぎてワロタ。時の流れを感じさせないペネロペ・クルスが逆に懐かしさからの古臭さに繋がった可能性もあるかもなあ。


13. ドライブ・マイ・カー
二十歳の頃にノルウェイの森を読んでよくわからず、三十歳の頃に再読してそのときはちょっとおもしろいかもなんて思った私はなんとなく自分はアンチ春樹寄りなんだろうなと自覚していましたが残念ながら(残念とは)本作ドライブ・マイ・カーはなかなかおもしろかった。演劇が重要な役割を果たす物語というのが大きいかも。しかも演劇ってどうしても寒くなりがちというか本読み、会話、演劇論などその界隈に理解ある者でもこそばゆくなるケースが多い中で本作のそういうシーンで私は全く恥ずかしくなく寒く感じなかったということは私がこの作品を楽しんでいた証拠なんだと思う。演劇論的なところでひとつ印象に残ったところ。「台詞は覚えなければならないが、相手の台詞まで覚えてしまいそれをきっかけにしてしまう」というシーン。当たり前のことだけどこうして言語化されるととてもおもしろい。本作は説明的な描写は多くないのでうるさくない。終盤、車が止まり、また動く。そこにある物が映るとその行動の意味がわかるとても良いシーンだった。そして三浦透子という役者、すごいなあ。この人が持つ力とそれを引き出したであろう濱口竜介監督すごい。


14. ティル・デス
超地味な作品だった。自分の浮気が夫にバレてないと思ってる妻、最近の不仲を解消しようと記念日のディナーでプレゼント交換するが夫からはなにやらゴツいネックレスでわざわざ夫がつけてくれました。妻から夫へのスーパーボウルのチケットは興味なさげ。夫はサプライズと称して妻に目隠しをして連れて行ったのは思い出のレイクハウス。やることやって翌朝起きたら夫婦は手錠で繋がれており夫は妻の目の前で頭を撃ち抜いて自殺。さあどうしましょう、というお話。これだけだとなんか面白くなりそうな気もするんだけどダメだったんだよなあ。個々のシチュエーションが見飽きたものだったり「そうはならんやろ」的なのが多かったり全然乗れなかった。なおこのあと強盗2人がやってきて妻を追い込みます。なぜなら例のゴツいネックレスの中には高価なダイヤが入っているから。しかしはずれないネックレス。首切るしかないよね~。90分の作品なので暇でしかたなければ見てもいいけどそうでないなら忘れていいと思います。


15. 牛首村
犬鳴村樹海村に続き清水崇監督による村シリーズ第三弾です。前2作品ともにそこそこ面白くそこそこ怖いんだけどなんか雑な感じも受けてしまうシリーズですが良くも悪くも本作はそのテイストを引き継いでいました。ただし本作は呪いが結構ストレートで爺婆の幼少期に双子は忌み子として片方を穴に落として殺していた田舎の村で死にきれなかった子があたり構わず近づく者みな傷つけるというギザギザハートの子守唄もびっくりの行動力で呪います。Kōki,演じるカノンも例に漏れず双子設定ですが映像処理が面倒なのかツーシヨットは極力避ける方向で進みます。予算少なかったのかな。水たまりに映るアレとかも「いま令和だよな?」みたいなクオリティでやはり予算少ないのかなと。なんて思ってたら終盤にかつて犠牲となった双子たちが分身の術のように出てきてやればできるじゃないかと思いましたがエンドクレジットで同姓がずらっと並んでそっちかーいと突っ込むなど。いやそっちもすごいんだけど。呪いが脈絡ない感じなのでいろいろブレ気味だけどKōki,が意外といい感じだったのでホラー作品以外でどうなるか気になりますね。


16. グッバイ、ドン・グリーズ!
幼なじみふたり、イケてない組、秘密基地、地元進学・東京進学、不思議な少年、冒険、今さら感の強い設定だけどキャラクターたちの魅力がそれぞれ立っていてなかなか面白かった。ベタな設定に加えていい年したおっさんが聞くとこそばゆくなるような台詞のオンパレードで観る人を選ぶ作品ではあると思う。私はそういう恥ずかしいくらいのジュブナイルが結構好きなので。そして私の中にある「グッとくるボタン」が条件反射で押されてしまう合唱シーン。これがあるとおじさんすぐイッちゃうから。ほんとチョロい。もう少し「間」で見せることをしてもいいのではという気もするけどまあいいか。こういう作品のメインターゲットはどのあたりの世代なんだろうなあ。ちなみに監督脚本は「宇宙よりも遠い場所」のいしづかあつこだそうです。


17. ナイル殺人事件
後発の作品ばかり先に触れてしまったためオリジナルがショボく見えてしまうアレ、という感想しか持てない私はつまらない人間だなあと少し凹むなど。アガサ・クリスティ読んでないので本当にすみません。まあ今更そんなこと言ってもしかたない。だって金田一少年名探偵コナンも良く出来てるんだもん。特にミステリはネタの再構築がなかなか難しいジャンルな気がするし。さらに本作に限って言えば「ほーら、ここに何かありますよー、よーく見といてくださいねー」的なのがはっきりくっきりたくさんあるのでワンカットごとにデカいテロップ出しまくる日本のバラエティ番組っぽさを感じてしまって全く乗れなかった。たぶんエジプトロケしてるんだろうけどそうした壮大な背景に大声で大袈裟な演技のドル箱役者たちをひたすら見せられるのはなかなかの虚無感がありこれはこれでいい経験になりました。と、わりとボロクソですが感受性は心身の具合にも影響されるので観るタイミングが悪かっただけかもなあ。ガル・ガドットが超絶美形なのはもちろんですがジャッキー役のエマ・マッキーがとてもキュートでしたね。ところでそこの男!遺跡をぶっ壊しといて捕まらないわけないだろ!

 

ではまた3月分で。

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