ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2022年1月

1月が終わりました。12月分はこちらです。

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パソコンの調子が悪くて1月分のまとめが遅れてしまった。このパソコン何年目だったかなあ。ちょいちょいモッサリするしそろそろ買い替え時か。もっかいコロナ給付金来ないかな。そうそう、今年はちょっとペース落として行こうかと思います。というのもやっぱり出張続きで疲れ気味というか土日に映画を詰め込むのがちょっときつい。とはいえ気になる作品はいくらでもあるので見逃すのが心苦しいんだけどしょうがない。ほどほどに楽しんでいこう。というわけで1月分、行ってみましょう。

 

1. 明け方の若者たち
昨年話題になった某花束映画になれそうで成れなかった作品でした。なんて言うと失礼だよなあ。でもだいたい合ってる。就職が決まった男子大学生が明大前の沖縄居酒屋で開催される就活勝ち組飲み会に参加したけど乗り切れずにいると同じくつまらなそうにしている女子学生(後に院生とわかる)が先に帰ってなんやかんやあってふたりで公園で飲んでラッドの3枚目と4枚目の良さバトルしてその後も遊ぶようになり女子に演劇を誘われて待ち合わせまで男子はヴィレバンで妄撮を立ち読みしてたら女子にそういうのが好きなんだーとからかわれて男子はやめろよーなんていちゃつきながら下北のスズナリで観たのが希望を持って就職したのにこんなはずじゃなかったと身を投げる作品で就職前のふたりには重くて王将で飲みながら王将用語クイズを出す女子にキャッキャ答える男子はもうひと押し出来ずにいると年上女子がもう少し押してくれていいよと言うのでそのままイチャコラして夜が明けてスマホから目覚ましがわりにキリンジのエイリアンズが流れて止めようとしたらもう少し聴かせてとか言っちゃって男子は大手印刷会社に企画希望で入社したら総務に配属されていまどきバックオフィス業務を見下す描写なんてまだあるのかと思いつつ女子は小さなアパレルでいずれは企画できると言われて販売員をやって男子は高円寺で一人暮らしを始めて女子と風呂でイチャコラしながらフジロックに誘うと断られてその代わりに旅行に行こうと言われて行ってイチャコラして泣く。(ここまでひと息かつ早口)という作品です。ここまでは某花束になりかけていましたがこのあとに隠されていた設定が明らかにされて私はその設定無理ーマジ無理ーとなってしまったので終了です。男子のイケメン同期が最後までイケメンだったのが唯一の救いでした。あと役者はなかなかよかった。特に黒島結菜はこんな表情もするんだと。そして佐津川愛美の使われ方。まあ私が無理だった設定が大丈夫という人もいるだろうしぜひどうぞ。


2. ザ・ボーイ 鹿になった少年
少し古い作品になるけど「マイキー」とか「危険な遊び」みたいなヤバいガキ映画の系譜に属するのかなあ。ただ、本作の少年テッドは前述作品のような純粋悪というよりは一応ちゃんと理由のある行為なのでまだ救いは、無いか。父が経営する山奥のモーテルで友達もおらず一人ぼっちのテッド。母は客の男と出ていったまま。交通量もほとんどない山奥だがたまに通りかかる車に野生動物が轢かれるとその死体を持ち帰るテッド。そうすると父がお小遣いをくれるから。あるとき「お菓子を道路に撒けば動物が食べに来て事故るんじゃね」と平目いて実行したらデカい鹿がひっかかる。道に迷ったのか通りかかった親子連れがモーテルに泊まることに。同年代の男の子とプールで遊びながらその子の頭を水中に押し込むテッド。怪しい客の大切なものを盗んでバレたテッドが逃げた先には。クソガキっぷりですがどうやら父との関係に理由がありそう。この閉鎖環境から逃げるためのバス代を貯めてきたテッドの貯金箱から金を盗む父。ここから出さないという強い意志の父。まあ道連れだわな。毒親の極み。ラストに見つめ合う父の目が語るものは。というわけで子供ならではの不穏な空気がまったく途切れることのない作品でした。


3. スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム
しまった。観たあとは興奮していて感想を書き忘れてた。というわけで時間が経ってしまいまい興奮した記憶はあるけどどんな話だったっけ状態。2回目観ようと思ってたけどなかなか都合が合わず。公開から時間経ってるしもういいよね。ネタバレ嫌な人は森へお帰り! 本作、とりあえず関係各所に感謝ですね。サム・ライミ版、マーク・ウェブ版、そしてジョン・ワッツ版、いろいろあったけど今作ノー・ウェイ・ホームで救われたファンは多いのでは。他シリーズのヴィランが登場するだけでもテンション上がるけど3人のピーター・パーカーがキャッキャウフフしてる光景とかそれだけで泣くわ。トビー・パーカーのウェブが体をから出てくることを知ったアンドリュー・パーカーとトム・パーカーが「きもっ……」みたいになるのワロタ。ビルから転落したグウェンを救えなかったアンドリュー・パーカーがビルから転落したMJを抱きとめたの最高。ヴィランを救済する結末も最高。すべてを救うそんな物語があってもいいじゃない。ヨシ!


4. クライ・マッチョ
この年になっても勢力的にさく品を作り続けるのは凄いなあと思いつつも本人出演の際には抗えない老化により役柄の範囲が狭くなることの受け止め方がわからない今日このごろ。まあ最後まで見届けるしかないんだよなあ。メキシコにいる息子ラフォを誘拐してくれと元雇い主に頼まれるマイク。ラフォはまだ子供だが母に愛されていないことを理解しており、家を出て警察に追われながら生きている。マイクから父の農場、馬、牛の話、そしてラフォに会いたがっている話を聞き、マイクとともに国境へ向かうことに。大人の男と子供の男のロードムービーというかバディ物というか、まあ大好物ですわ。道中にトラブルは発生するもののマイクとラフォに家族とも友人とも異なる絆が生まれる過程はベタだけど私も欲しているものだしもはや様式美といえる。中盤、立ち寄ったダイナーを切り盛りする女性マルタに出会い2人の意識にも大きく影響するのもテンプレかよと思いながらもこれでいいこれがいいという気持ちに。目新しさは無くあっさりしているけどこういうのもアリかなあ。


5. シークレット・マツシタ/怨霊屋敷
ペルー産のホラー映画です。かつて日系人一家が暮らしていたマツシタ邸と呼ばれる屋敷。一家は凄惨な事件により全員死亡。その敷地、マツシタ邸が建てられる前にある女主人の屋敷が建っていたとか。彼女は少し変わった人で魔女狩りにより火炙りで殺されていた。このマツシタ邸に潜入した撮影チームが映したものとは。といった感じでテンプレ通りではあるんだけどペルーが武隊にも関わらず現れる怪異がかなり和風なのが面白いしその表現がちゃんと「わかってる」感があるのも面白い。そして霊たちが一枚岩でないのも面白い。撮影チームのクソっぷりもあるある感たっぷりでネタはベタでもちゃんと作ってテンポがいいとちゃんと面白いんだなと。いわゆるジャンプスケア的なものが苦手でなければアリだと思う。


6. Coda コーダ あいのうた
両親と兄、そしてルビー(妹)の四人家族、そのうち耳が聞こえるのはルビーだけ。漁業を営む家族の通訳として学生のルビーも朝から漁に出る。新学期の選択科目で合唱クラスに入るが自信が無く人前で歌えないルビー。漁の最中に歌っていても家族は聞こえないので客観的な評価をもらったことがなく自分の実力がわからない。合唱クラスの個性的な教師に半ば強制されるように歌ったその声に教師も驚き、発表会に向けて特訓が始まりそのポテンシャルからバークリーの受験を勧められる。が、両親は猛反対。誰が通訳をするのか、そもそもあなたが歌が好きなんて知らなかった、騙されてるんじゃないの、などなど。聴いたことがないんだからそりゃそうだ。ここまででまだ半分。聾唖の両親が健聴の子を生んだときの気持ち、育児の不安や困難、健聴の妹をもつ兄の気持ち、家族で健聴なのは自分だけというルビーの気持ち、とにかくこの作品を観てさまざまな立場の気持ちに触れてほしい。正直かなりきつい表現もある。差別はおそらくなくならない。この家族は存在する。特に印象に残ったシーンを2つ。ひとつ目は音楽教師に「歌ってるときのでどんな気持ちか」と問われたルビーが言葉に詰まって絞り出したジェスチャー。この作品は手話が多用されるため字幕が付くんだけどこのシーンだけ字幕なしだった。あのジェスチャーが手話なのか、手話がわからない教師に向けたルビーなりのジェスチャーだったのか、いずれにせよルビーが絞り出したその感情は私にも伝わり涙が溢れた。ふたつ目は終盤に兄がルビーに対峙するシーン。健聴の妹に引け目を感じつつ兄としての威厳を保ちたい古き良き男の兄が喧嘩腰で放つ言葉には言外の愛が溢れていて私の涙も溢れてしまった。ところでこの作品、以前似たような内容の作品を観たことあるなと思って鑑賞後に調べたら2015年に観たフランス映画「エール!」のリメイクだそう。設定が多少異なるもののどちらも素敵な作品です。それにしてもルビー役のエミリア・ジョーンズ素晴らしかったなあ。ルビーが歌うジョニ・ミッチェルのBoth Sides Now、何度聴いてもいろんな感情が溢れてしまう。

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7. 地球外少年少女 前編「地球外からの使者」
月生まれの登矢と心葉が暮らす宇宙ステーション「あんしん」に少年少女3名、大洋、美衣奈、博士が地球からの旅行で滞在中に発生した謎のシステムダウン。調査の結果、突如現れた彗星に国連が核を使用した影響とわかるが彗星が破界された形跡がない。このままでは……という感じで物語が始まります。月生まれの子15名のうち10名は3歳までに死亡。当時のAIが開発したインプラントを埋め込んだおかげで登矢と心葉は14歳になる現在まで生きているがインプラントの欠陥によりいつまで生きられるかわからない。このAIは自己崩壊してしまいブラックボックスと化したインプラントの欠陥をこのAIを超えるAIを開発して解決済みしたい登矢は各システムへのハッキングに夢中。今作が前編3話、そして後編3話の計6話の作品だそう。少年少女の今どき感、トラブルを経た成長、出自への無理解と差別、和解、正体不明の敵?などなどジュブナイル(最近はヤングアダルトとか言うのか?)の定番てんこ盛りでそれぞれ丁寧に描かれつつたった6話で完結させるべくテンポ良く進むのでダレない飽きない面白い。今作ではまだ謎は謎はのまま。ステーションの医療担当那沙は何か知ってそう。はやく後編を観たい。なお監督原作脚本の磯光雄の過去作「電脳コイル」をいまさら見始めました。うんち!


8. フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊
さすがウェス・アンダーソンというか全シーンどこを切り取っても額装できそうな映像で目が幸せ。役者たちもみんな魅力的。しかし全体としてはよくわからない、という作品でした。いや、面白いんだけど。新聞の別冊の編集長とライターたちの物語です。その中でも、芸術担当、政治担当、食担当の3話がメインとなり彼らのとっておきの体験が展開され、中でも芸術の看守シモーヌ(レア・セドゥ)が美しすぎてたまらん。その後の政治のシャラメ様とかよく覚えてないし。食の誘拐犯女と子供の関係みたいなやつは大好物です。個別の物語は面白いしそれぞれ見どころはありつつも恐らく元ネタがあるだろう演出もそこまで知識は持ち合わせておらずひたすら映像美を堪能するという感じになってしまった。そのうち再見してみるかなあ。

 

ではまた2月分で。

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