ネットに影響される人の日記

ネットに影響される人の日記

影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2021年4月

4月が終わりました。3月分はこちらです。

htnmiki.hatenablog.com

 

相変わらずオリンピック周りでごたごたしている中でついに3回目の緊急事態宣言となり昨年に続いて今年のゴールデンウィークも新作映画はほぼ公開されず本当にもうこの1年なにをしていたのかという思いでいっぱいですね。ちなみに弊社は2回目の緊急事態宣言が解除されてから通常出勤に戻り現在もそのままです。うちだけかと思ったら通勤電車の混雑具合が全く変わってなくてワロタ。もうね、人も企業もいろんな意味でこの状況に慣れちゃってるよね。失政で傷口は広がるし人が死ぬということを実感せずにはいられません。というわけで4月分、行ってみましょう。

 

30. 騙し絵の牙
嫌いじゃないんだけどなんとなく避けがちな大泉洋と、「人を騙してそんなに面白いですか」「めちゃくちゃ面白いです」という明らかに本編で繋がりのないシーンの切り貼り予告編にうんざりしてたので観る気がしなかったんだけど、なんか暇だったので観たらとても面白かったです。廃刊危機の雑誌編集者の奮闘と業界に渦巻く欲望みたいなよくある感じでも原作がミステリ小説だそうでうまく仕上がっていて、ちゃんとした役者を集めてるので変に気が散らずに観られたのもよかった。松岡茉優が新人てのは無理があるんじゃねと思いかけたが彼女の経歴がベテラン感を出してるだけでまだ25歳なら全然ありか。いまどきそんな熱血漢いるかなあと思わなくもないけど。歴史ある文芸誌の編集長の木村佳乃が素晴らしかった。まあこのキャラもベタなんだけどこれも役者の上手さなんだろうな。チョロい私は好きなラストでしたね。主演の大泉洋はまあいいか、っておい。役者というか脚本?演出?が最高だったのが彼の屋上とコーヒーのシーンかな。あ、そういうとこあったんだ、っていう。そして池田エライザが可愛かったので100点です。ひとつだけ、リリーさんのああいう使い方はあまり好きではない。そういや好きな台詞があった。20年書いてない伝説の作家の文庫を買いに来た女子高生くらいの子にどうしてこをそれ買おうと思ったのかと聞く書店員への回答が「映画にもドラマにもなってないから本を読むしかない」だった。これが後のヒントになるんだけど綺麗事だよなあと思いつつも嘘ではないし青臭さはおじさん大好物なので良いですね。


31. モンスターハンター
ゲームやったことないけど観てみました。任務中に異世界に飛ばされた特殊部隊がモンスターにパクパク食われてたったひとり残ったミラ・ジョヴォヴィッチ異世界人のトニー・ジャーと出会い戦う物語です。ん? モンスターどこ行った? という状況が結構長く続きますがミラ・ジョヴォヴィッチトニー・ジャーのガチバトルは楽しいのでOKです。言葉は通じないけどなんやかんやあって仲良くなって一緒にバーベキューしたり一緒に修行したり一緒に武器を作って作戦を考えたりひたすらほのぼのシーンが続きます。たまーに蜘蛛の大群に襲われるのは本当に勘弁してください。思い出すだけで全身鳥肌です。本作はディアブロスというめっちゃ強いモンスター1匹を倒すためにあれこれ頑張る話なんだけどゲームもそんな感じなんすかね。もっといろんなモンスターがバンバン出てきてバンバン倒しまくる系かと思ってたので。協力が必須だとなかなか面倒だな。そういやTOHOシネマズの幕間でおなじみの山崎紘菜がちょい役で出てましたね。まあイオンシネマで観たんですけど。


32. 裏アカ
おちんちんがお元気になる映画でした。←おい 仕事も私生活も満たされない女性がふとしたきっかけでツイッターの裏アカを始めてセクシー写真をupしてフォロワーが増えて承認欲求が満たされてアプローチしてきたひとりと会ってセックスしてハメ撮りされてまた会おうとしたら拒絶されて他の男と会ってハメ撮りを繰り返して動画をupして承認欲求が満たされてなんか仕事も順調になり始めたところでなんやかんやみたいな感じです。いまどきそんな無防備な人いるか?というところさえ乗り越えてしまえばあとはおっぱい祭りを楽しめばいいかと。経験のない職業を想像で語るのはマナー違反な気がするけどアパレル販売員の厳しさは耳にするしどうにかならんのですかねあの業界は。仕事で認められたいという気持ちはもはや思い出せないほどの昔になくしてしまったのでまあ頑張ってくださいとしか言えないけど、仕事も私生活も望むレベルが高いという客観的な感覚がないときついのかなと。それでこそ頑張れる人もいるんだろうし結局人それぞれか。主演の瀧内公美、いままであまり印象がなかったんだけど声が良かったな。最近どこかで名前を見た気がしてググったら昨年末に観た舞台「そして春になった」 で、私は松雪泰子ソニン組を観たんだけど、もう一方が瀧内公美片桐はいりだったんですね。そっちも観ときゃよかったなー。


33. パーム・スプリングス
めちゃくちゃ楽しいループものロマコメSFでした。ドラッグと下ネタがあるのでPG12なんだろうけどそれほどきつくないと思われます。結婚式で新婦の姉サラを口説くナイルズ、いい感じになったところでなんやかんやあって朝目覚めたら結婚式当日の朝だった。記憶は維持されるため、まず混乱 → 状況把握 → ループから抜け出す方法を考える → 絶望 → 諦める → エンジョイ → 絶望 → 自暴自棄 → ふりだしに戻る、みたい展開は予想されますが、サラのキャラも表情もまあかわいいこと。家族のなかで厄介者扱いされているサラを唯一心配している妹との関係も見どころ。サラのスピーチにグッときてしまったチョロいおじさんは私です。そしてサラより先に永遠の時を繰り返してきたナイルズ、もっと悪事を尽くすかと思いきや諦めからの全力エンジョイ勢でワロタ。この状況で倫理観を失わずにいられるのはすごい。ループしてるのがナイルズとサラの2人なので必然的に2人でいることが長くなり互いに相手のことを……みたいな制約条件下での感情のたかぶりは本物かどうか問題はありますが、いわゆる「普通の出会い」も様々な条件が重なった上でのことなので、それを問うのは無意味な気も。というわけでとってもキュートなサラを見に行きましょう。


34. ザ・スイッチ
ワイン、トイレ、テニス、さて何でしょうか? 正解は、殺害方法! 父親をなくした家庭でいろんな思いを抱える内気な女子高生ミリーと伝説の連続殺人鬼ブッチャー(おっさん)が入れ替わるホラー映画です。とりあえずめちゃくちゃ面白かった。大当たりですねこれは。ところでこういう入れ替わり作品は登場人物に言及する際に肉体と中身どっちで呼べばいいのかなかなか難しいな。ミリーの役者は見覚えがある気がしてあとでググったら名探偵ピカチュウのあの子だった。ピカチュウの感想でもいい感じと書いてたわ。今回も入れ替わり前の陰キャっぽさや入れ替わり後の殺人鬼っぷりの振り幅がとても楽しい。そして殺人鬼ブッチャーは映画「ハロウィン」のマイケル・マイヤーズを彷彿とさせる殺しっぷりで、洋画ホラーの冒頭あるあるをきっちり仕上げてくれましたね。小ぶりでちゃんと楽しめるホラーってありそうでない気もするので朝イチでお宝ゲットした気分です。入れ替わり物では昔ニート時代に深夜のテレビで放送されてた「ホット・チック」を思い出すなど。とても面白いコメディ作品で、あちらもオススメですね。


35. 21ブリッジ
この日、1本目が「ザ・スイッチ」で2本目がこれ。2本続けて大当たりは嬉しい誤算ですね。マンハッタン島の強盗事件で警察官8人が殺された事件を捜査するアンドレ。マンハッタン島から逃がさないために21本すべての橋と川とトンネルを封鎖。盗まれたブツがコカインだったため麻薬班のバーンズと2人で犯人に迫る中で明らかになる真相とは、みたいな。とにかくテンポがよくて、ガンガン発砲して、街なかではあまり見かけない種類の銃器だったり、意外と無防備な裏稼業さんとか、妙に数字に強い犯人とか、その理由とか、飄々としたJ.K.シモンズとか、おもしろ要素をギュッと濃縮した感じで、こういう警察モノってありそうでなさそうでかなり楽しかった。「平日休みでたまたま見た午後ローで大当たりだったときみたいな作品」というツイートを見かけたけどまさにそんな感じ。悪党にも悪党なりの都合があるとか、身の丈を超えすぎたデカいヤマを前に怯むとか、犯罪は肯定しないけどそういうの好きですね。そういや街中の監視カメラから適切に情報を提供してくれる本部のヨランダにもっも活躍してほしかったな。主演のチャドウィック・ボーズマン、早すぎるよなあ……


36. アンモナイトの目覚め
今年の初めに観た「燃ゆる女の肖像」を彷彿とさせる良作でした。なんとなく観た映画が当たりだと嬉しいねえ。人間嫌いの古生物学者メアリー、毒っぽい母と二人暮らし。裕福な化石収集家の妻シャーロット、毒っぽい夫のせいで鬱気味。出会うはずのなかった二人が出会ってしまった物語。貧しく孤独に生きてきたメアリーと、貧困とは無縁で世間知らずのシャーロット、当初はメアリーの強さが押しているが、あるタイミングで主導権が入れ替わるのがとても面白い。舞台は19世紀のイギリスで、まだ女性に人権がなかった時代背景がベースにあるので、現代の感覚で観るとなかなかつらい場面も多い。特にメアリーの母の件がつらすぎた。他にもメアリーの功績に男性の名札が付けられているとか、口には出せずともそういう時代に疑問を覚える女性たちの間に同志のような感情がうまれるのは自然なのかもしれない。ラストシーンも「燃ゆる女の肖像」を思い出しました。しかし本作はどうやら実在した人物を描いているらしく、これだけセクシャリティを描いてしまって大丈夫なんだろうか。自伝とか出てんのかな。出てなかったら結構危うくないかこれ。


37. AVA/エヴァ
シンエヴァと公開が被ってしまったのがつらいところ。どんなに頑張ってもこの作品がバズることはないんだよなあ。というわけであのエヴァじゃないエヴァは、有能すぎる殺し屋が有能すぎるために危険視されて殺し屋組織に狙われるという、まあよくあるタイプの作品です。よくあるだけあって展開はわかりやすいしアクションも手を抜いてないし97分だし安心してサクッと楽しめるこういうタイプの作品は好きです。主演のジェシカ・チャステインのアクションがなかなかカッコよかったな。この方向性もアリだと思うので続編(あるのかな)が気になるところ。マルコヴィッチお爺ちゃんもいい味出してた。コリン・ファレル演じる黒幕が「来いよベネット、銃なんか捨ててかかってこい」的な雰囲気を纏っていてちょっと笑ってしまった。結局みんな肉弾戦が大好きなんだな。そういやこの作品を観てアンジェリーナ・ジョリーの「ソルト」、ジェニファー・ローレンスの「レッド・スパロー」は続編どうなったんだろうと思いだしたり。


38. SNS-少女たちの10日間-
インターネットで子供を虐待・性的搾取する大人の実録モノです。外見が12〜3歳くらいに見える成人女性をオーディションで集めて、そのうち3人のSNSアカウントを新たに作り、そのアカウントに何が起こるのか。ある程度予想はしていたけど本当に酷すぎて、しかもこの映画を見終わる頃には自分が少し麻痺してる気もしたのが怖い。子供に対する酷い要求を急かさないだけで少し良い人っぽく映るとかね。まあクソなんだけど。なんかもうとにかく酷くて、特に現在子育て中の人は逆に見ないほうがいいんじゃないかとも思いかけるけどでもやっぱり見といたほうがいいかなあ。作中で唯一ともいえる尊い場面で1人が感動して泣いてしまうんだけど、あまりにクソだらけの中では「普通」が「尊く」見えてしまう錯覚じゃねーのとか、いやでも普通がいちばん難しいみたいなよくある話かとか、いやでも私自身はそういう意味では普通だぞとか、ほんと疲れる。恐怖と憤りと吐き気に襲われる作品でした。ちなみにこうしてインターネットで子供を虐待・性的搾取する大人のうち小児性愛者は数%だそうです。つまり単に騙せる、コントロールできる幼さを狙い定めているということ。また、ネット企業がこの状況を放置していることにも言及していました。


39. グランパ・ウォーズ おじいちゃんと僕の宣戦布告
妻を亡くしたエドロバート・デ・ニーロ)が娘サリー(ユマ・サーマン)一家の家に引っ越してきたため孫ピーター(オークスフェグリー)は部屋をエドに取られ自分は屋根裏部屋に強制移住させられたことから始まる孫vs爺のガチンコ戦争物語です。登場人物ほぼ全員にガチの悪意が存在しないので小さな子供とも安心して一緒に観られる作品だと思います。つーかゴールデンウイークに公開すればよかったのに。と思ったけど三度目の緊急事態宣言で対象地域の映画館は全滅か。つらい。先日観た「21ブリッジ」の感想に「午後ローの当たり回」みたいなことを書いたけど、本作は「家族で観るゴールデン洋画劇場」という感じでした。どことなく懐かしさを感じる良質なコメディです。ただしその懐かしさの中に現代ではポリコレNG的なものが無かったとはいえないので「そういう人たち」に見つからずにそこそこヒットしてくれればいいな。続編の匂わせもあったしね。


40. 名探偵コナン 緋色の弾丸
昨年公開予定だった春の風物詩が新型コロナの影響による1年の延期を経てようやく公開されたので。なんて言いながら漫画もアニメも追ってなくてここ数年映画を観てるだけなので今回は赤井ファミリー? に混乱してしまった。弟・妹・母は初めて見るし、そもそも赤井が赤井じゃないし、赤井じゃない赤井が妹・母とバトルしてるし、様々な能力が衰えてきたおじさんの頭には「?」が渋滞していました。物語はどうやらオリンピック的なものを絡めた連続拉致事件が発生するんだけど、オリンピックって作中でオリンピックに触れるだけでもNGなのかな。まあオリンピック的なものが台無しになる脚本だからあえて本家には触れないようにしたんだろか。今回やけに灰原が蘭に嫉妬してるような場面がはっきり描かれてた気がするけどなんか進展あったんだっけ? 事件の肝となる「クエンチ」の説明がしばらく無くて「クエンチなんてクイッククエンチガムしか知らないよおじさん」が大量発生していたんじゃないだろうか。勉強になりました。毎回のことだけど「そりゃねーよw」と「うまいなあ」がバランス良く詰め込まれていて良く出来たエンタメだな。


41. るろうに剣心 最終章 The Final
ずいぶん久しぶりに見た武井咲やっぱりかわいいな。という映画でした。完。なんかもう最初の作品から時間が経ちすぎていて当時はまだブログも書いてなかったのでほとんど覚えておらずまあそのぶん毎回新鮮な気持ちで観れるのでそれはそれでお得かなとか思ったり思わなかったり。今回は剣心に奥さんがいたことがわかりその奥さんを自らの手で殺めて奥さんの弟に恨まれてたというお話です。まあ身内を殺されたら恨むだろうけどこの弟がまた強烈なシスコンだったのであちこち巻き込んで大騒ぎですわ。夜の浅草に気球で登場して爆撃を始めるんだけど燃え盛る浅草の街の上は気流が乱れて気球どころじゃない気もするけどほんわか飛んでいきました。この作品の特徴ともいえるワイヤーアクションによる漫画っぽい動きは健在でこのスピード感かっこいいよね。ただ、この手の演出が若干インフレ気味でバランスが難しいなと思ったり。最終章は二部作と聞いていたので本作は中途半端に終わって「はよ見せろや!」となるのかと思いきや普通に完結してしまったので次のBeginningはどうなるんだろ。


42. 砕け散るところを見せてあげる
高校でイジメられている現場を目撃してしまった清澄(中川大志)が玻璃(石井杏奈)を助けたことから始まるほんわかラブストーリー。ベタだけどこういうのキュンキュンするし大好物ですよ。徐々に心を開いていく玻璃、というか油断すると堰を切ったように話し始める玻璃、若干ヤベーなこいつと思いながらも玻璃が気がかりでしかたない清澄、互いの秘密を笑わないふたり、そんなふたりを見守る友人たち・清澄の母・クリーニング屋のおばちゃん、まあファンタジーですよこんなの。でもさあ、そんなファンタジーがあってもいいじゃない。石井杏奈が本当に上手い。「ソロモンの偽証」でなかなか特殊な役を演じていた印象が強いけど今回も強烈な役どころがハマってたなあ。脇を固める井之脇海松井愛莉、清原果耶、矢田亜希子木野花原田知世、捨て役なしで皆素晴らしかった。清澄の親友役の井之脇海、この人がいると空気が和らぐよね。驚いたのが清澄の母役の矢田亜希子。観たあとに調べるまで誰だかわからなかったんだけど最高でしたね。こんなに上手い役者だったのか。とにかくこれは好きな映画です。と、終盤を見るまでは言えたはずなんだけど、問題の終盤、なにあれ、そこまで必要? ドン引きすぎてポカーンですよ。それがあってこその、というのもわかるけどさあ、心の準備ができていなかったのもあるけど少しイラッとしたわ。個人的にはあれはいらなかった。いい作品なんだけど100点つけられないのがもどかしい。

 

ではまた5月分で。

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