ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2021年3月

3月が終わりました。2月分はこちらです。

htnmiki.hatenablog.com

 

緊急事態宣言の延長、そして解除、なにが変わってるのかよくわからないけど街は完全に以前の状態に戻ってますね。私がよく行く郊外の映画館は1席ずつあけるところとそうでないところが混在しています。都内は全席埋めてる感じですね。GWや夏休みとかどうなるのかな。そして、いやー新年度が始まっちゃいましたねー。仕事のチームが少し変わったのでストレスMAXです。というわけで3月分、行ってみましょう。

 

19. 太陽は動かない
「謎の秘密組織AN通信。この組織に属するエージェントは心臓に爆弾が埋め込まれ、24時間ごとに死の危険が迫まる」という物語。予告編ではギャグパートなんかもあるのかと思ってたけどそういうタイプではなかった。つまらないわけじゃないし、アクションもカッコいいんだけど、派手なスパイ物にしたかったのかいろんな設定を詰め込みすぎて逆にとっちらかって全体的にぼやけた印象になってたかなあ。特に鶴見辰吾の家庭事情(妻の状態と誘拐された息子)がどこに係ってるのかよくわからなかった。私の理解力がアレな可能性も。濁点台詞でおなじみの藤原竜也は今回も濁点健在でした。ただし、かつて「何を演じてもキムタク」と言われた木村拓哉が徐々に演技の幅を広げてきたように、藤原竜也も面白い役者になってきている感じはあると思う。藤原竜也の少年時代パートの青臭さや甘酸っぱさは大好物です。やたらと生脚を見せたがる謎の女スパイ、いやもう本当にありがとうございます。


20. カポネ
梅毒の影響による認知症が進む伝説のギャング、アル・カポネの最晩年の物語。これはなかなか新しい映画なのでは。こんなに地味なギャング映画によく予算がついたなと。いやでもギャング映画ではなく完全に認知症映画だなこれは。当事者周辺にとっては毎日が地獄かもしれないけど外野から見たら地味だし、ひたすら気持ちが沈む場面の連続なので、面白かったからオススメですとは言えない作品ですね。それでも観てよかったけど。愛した人に「お前は誰だ、何を企んでいる」みたいなことを言われるのって認知症を扱う作品あるあるだけど、この世の残酷ランキングの上位だよね。アル・カポネの妻メエ役のリンダ・カーデリーニは年とともに味わい深い美しさがあって好き。私の親が認知症になったら私はどこまで頑張れるんだろう……


21. シン・エヴァンゲリオン劇場版𝄇
たぶんネタバレありなのでご了承ください。1回観て色んな人の感想を読んで明らかに見逃した部分があったので2回目を観て感じたことをメモしておく。まともな考察は他でどうぞ。庵野じゃなくて作品で語れという増田がバズっていて私も基本的にはそっち派なんだけど、この作品は完結までにあまりにも時間がかかりすぎていてその時間経過に触れないのは逆に無理がある気もする。第3村でシンジがどうにか動けるようになって、トウジとシンジが2人で歩きながらトウジが「自分がやらかしたことには落とし前をつけたい、けじめをつけたい」と話していて、これ1回目は流してしまったんだけど2回目にこの言葉が引っかかって。庵野秀明がこの作品で言いたいのは○○だといろんな人が考察していてたぶんそうなんだろうと思うけど、庵野秀明のいちばん率直な気持ちは実はトウジのこの言葉「自分がやらかしたことには落とし前をつけたい、けじめをつけたい」なのではと。たしかこの言葉の前に「生きるため、家族を守るためにお天道様に顔向けできないこともした」みたいなことも言ってたような。若い庵野秀明TVシリーズエヴァから始めて多方面に迷惑かけてやらかしてきたことにけじめをつけると。これはもう完全に自分語りだけど、私自身若い頃には考えもしなかった人助けとか社会への還元とかボランティアとか、さんざん好き勝手にやってきて一人で生きてきたつもりが実は周囲の多大なサポートに気付いていなかっただけで、年をとって良くも悪くもいろんなことが見えてきて過去のイキリが恥ずかしくて、埋め合わせじゃないけど今からでもなにかできないかと思ったりするんですよ。もちろん庵野秀明と私は別人なんだけど。年取ってつまらない人間になる(見える)のってそういうところなんじゃないかと。責任を取るのが大人だとしたら若者にはつまらなく見えるだろうなと。いままでのエヴァなら綺麗に風呂敷を畳むなんてあり得なかったのかもしれないけど25歳近くも年老いた結果ここまでの責任をすべて果たそうと。ミサトの「すべてのカオスにケリをつける」とか、シンジの「ボクの落とし前」とか、とにかく大人になったんですねと。私はこの作品でかなりスッキリした一方、どこかで「投げっぱなしのエヴァ」を期待してたのも事実で、矛盾の塊ですね。私はエヴァオタじゃないし完全にニワカですが、テレ東深夜一挙放送の途中からなんだかんだで触れてきてわりと楽しんできたので、ちょっと寂しさもありますね。ま、生きてる間に完結してよかったとしておこう。とりあえず、この作品を観ることなく逝ってしまった多くのファンたちに、終わったよと伝えたい。以下、気づいたこと気になったことを。ミサトの最期がいちばんグッときたかも。黒幕ではないにしてもこの事態のきっかけでもある父の研究にとどめを刺したというか。「主は来ませり」の主は槍なんだろうけどミサトでもあるというか。神殺しに対して存在しないはずの槍を作る、神を作るというか。そして、エヴァを楽しんできたと書いたけど、終始ノリ切れなかったのはゲンドウに1ミリも共感できなかったのが大きい。最愛の妻を亡くした絶望でその忘れ形見たる息子を捨てるなよと。本作最後に「そこにいたのか」じゃねーよ。ふざけんな!(わりとマジギレ) アスカが露出狂になった経緯とは。トウジは大人になったけどケンスケがあまり変わってないのがよかった。ゲンドウ喋りすぎ。アスカ、マリ、サクラ、あなたはどの尻派ですか。アスカとヒカリの絡みがなかったのが寂しい。結局ユイは自らの意思で初号機に取り込まれたの? いろんな感想読んでるとユイの奇人度が爆上げというか。冬月はなんなの?サイコパスなの? ゲンドウを調子づかせた冬月の罪がでかすぎる。というわけで、TVシリーズ、旧劇、新劇、いつか一気見したいですね。まだ読んでない感想がたくさんあるのでもうしばらく楽しみます。そして舞台挨拶中継が見たくて3回目を見たあとの感想。1回目はスッキリした。2回目は見逃したところを見てふむふむと思うなど。3回目はなんか気持ち悪くなった。以上です。

いつかまとめて読むリンク集

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開から1週間分の感想エントリまとめ - まなめはうす

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開2週目の感想エントリまとめ - まなめはうす

「シン・エヴァンゲリオン劇場版」公開3週目の感想エントリまとめ - まなめはうす

なんだか妙に納得してしまったブコメ


22. ビバリウム
前田美波里が発見した新しい元素ではありませんでした、ビバリウム。予告かキービジュアルで見かけた絵面からてっきり「若い夫婦に子供が生まれてなんやかんやすれ違い始めて重苦しい空気が漂う」系の作品かと思ってたら、全く明後日の方向というか、若いカップルがふたりで暮らす引越し先を探すために不動産屋に入ったら折り目正しい店員の猛プッシュで内見することになり郊外の「ヨンダー」地区へ車で行ってなんか妙に気持ち悪い店員に案内されながら内見してたら店員が消えてとりあえず帰ろうと車を運転するが新興住宅地にありがちな同じ外観の家が建ち並ぶ街をいくら走っても風景が変わらずどこを曲がっても最初に案内された9番の家に辿り着いてしまう、というホラー映画といっていいのかな、そういう不思議なイントロから始まり、次の登場人物の胸くそ悪さや徐々に精神がすり減っていく様子や一矢報いたかに見えたら絶望の淵だったりと、心の準備なしで観たらとても疲れた作品でした。冒頭にスペシャルズの曲が流れてたあたりは楽しそうだったのになあ。

youtu.be

せめて「vivarium」の意味を知っていたら。英語は勉強しておくもんですな。単に不思議なものを作りたかったのか、何らかのメッセージがあるのか、制作者の意図はいったい。そういえば "I'm not your fuckin' mother!" というセリフは私の大好きな映画「エスター」を思い出しますね。


23. ブレイブ -群青戦記-
スポーツ強豪高校が校舎ごと桶狭間の戦い直前にタイムスリップして織田信長の家臣簗田政綱に人質として捕らえられた部活仲間を助けるために後の徳川家康である松平元康の作戦に加勢してなんやかんやある、というジャンプ漫画が原作の作品だそうです。三浦春馬が出るということで観てみました。少し前に観た天外者は正直ちょっとキツかったけど、本作はなかなか面白かったのでよかった。とはいえ日本史を完全に捨てていた私は面白さがどこまでわかってるのか。まあ、タイムスリップ、歴史改変を企てる者、このへんの設定はちゃんとしてたと思うし、わりとガンガン死ぬし、飽きずに最後まで見れるのは本広克行っぽい気も。ただ、高校生に人殺しをさせたくないのか、だいぶ無理のある戦い方になってしまったのが少し残念。まあでも人を殺したことのない人が人を殺すことのハードルの高さは私にはわからないので逆にリアルなのかなあ。イオンシネマ山崎紘菜を見ると戸惑うよね。あれ?ここTOHOだっけ?みたいな。そういや特進君が手品で出した花をもらってた女子(宮下かな子)可愛かったな。あ、かわいい人にかわいいと言うのはありえないんだっけ?知らんがな。


24. フロッグ
猟奇系かと思いきや超常系ホラー、かと思いきや刑事vsクソガキ、かと思いきや。いやー、なかなか面白かったぞこれは。なにもしてないのに勝手にテレビがついたりすることってあるじゃないですか。そんなことが起こる中で、不倫がバレて夫と息子に愛想を尽かされた女のもとに性懲りもなく不倫相手がやってきたあたりから得体のしれない恐怖に襲われます。正体がわからないものや理解できないことに恐れを抱くのは人間の本能なんですかね。そのひとつが無表情。真顔のカエルのマスクこえーよ。ああいうのほんと苦手。そういや「ミュージアム」という邦画にカエルマスク男がいたな。内容はよく覚えてないけど。公式ポスターのコピー「その恐怖は快感に変わる」って嘘ではないんだけど快感だけで終わるわけがないし、取り返しのつかないことってあるんだよね。願わくはすべての子供が健やかに育ちますように。そしてそのために大人が責任を果たさなければならない。


25. AGANAI 地下鉄サリン事件と私 Me and the Cult Leader
個別に書いたのでこちらをどうぞ。


26. ミッシェル・ガン・エレファント “THEE MOVIE” -LAST HEAVEN 031011-
個別に書いたのでこちらをどうぞ。


27. まともじゃないのは君も一緒
数学一筋でコミュ障気味の予備校講師と少し意識高い系の女子高生の物語。「普通」がわからない講師に、「普通」に疑問を持ちつつ「普通」に囚われがちな女子高生。キャラクターの描き方も含めて漫画っぽい気がした。普通に結婚したい講師のために普通の恋愛をレクチャーするんだけど、その作戦が普通じゃないというかむしろ突拍子もない。外的要因が大きい場面で仕組まれたかのようにうまく展開してしまうとか、まあ都合良すぎるんですよ。ただ、うまく行きすぎないように多少バランスとってる感じが意外と絶妙で、正直けっこう楽しめてしまった。清原果耶が成田凌を振り回すだけかと思ったらそんなこともないし。泉里香という役者を初めて見たんだけど、とても良かった。美人なのにどことなくやつれた影が見え隠れする役がハマってました。そして空っぽの言葉で庶民を引きつける気鋭の起業家役が小泉孝太郎でワロタ。ここまでわかってるキャスティングはなかなか見られないもんですよ。


28. ノマドランド
企業城下町って企業が倒産すると町ごと無くなるんですね。仕事も家も町も失った人が車中泊季節労働を転々とする、ガチのノマドの物語です。ノマドってスタバでマック開くやつかと思ってたよ。(←おい) 本作は半ドキュメンタリーというか役者だけではなく本物のノマドも出演しているそうです。どこにも属さない(属せない)ノマドたちですが、車中泊できる駐車場を借りられてそれなりの仕事がある場所となるとだいたい限られてくるようで、群れてるわけじゃないけどゆく先々で同じ顔が揃うこともよくある話。困りごとはお互い様で助け合うことも。企業に、自治体に、国に見捨てられた者たちが自助共助でどうにかこうにか生きている。家族を含め頼れる人がいても、実際に頼るかどうかは別の話。主人公の車が故障して多額の修理費を姉に借りに行くシーンは変な汗が出ました。10年以内に現職を失う気がする私はまったく他人事として見れませんでした。観てよかったけど、こんな気持ちになるなら観なきゃよかった気も。しんどいなこれは。そういえばノマドといえば我らが安藤美冬。しばらく見かけないと思ったら2年くらいネット(SNS)絶ちしてたようですね。


29. JUNK HEAD
個別に書いたのでこちらをどうぞ。

 

ではまた4月分で。

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