■原脚本
黒澤明、小國英雄、橋本忍、菊島隆三
■脚本
齋藤雅文
■上演台本
齋藤雅文、赤堀雅秋
■演出
赤堀雅秋
■出演
早乙女太一、倉科カナ、長塚圭史、中島歩、佐藤直子、山本浩司、水澤紳吾、西本竜樹、永岡佑、新名基浩、清水優、川畑和雄、新井郁、井上向日葵、小林諒音、相田真滉、松川大祐、村中龍人、荒井天吾・田中誠人(W キャスト)、久保酎吉、赤堀雅秋 銀粉蝶
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日本の戦国時代、天下統一の野望を抱いた者たちが群雄割拠の様相を呈した頃、蜘蛛巣城の城主・都築国春は味方の謀反により苦戦をしいられていた。一の砦の大将・鷲津武時と二の砦の大将・三木義明は隣国との激しい戦いの末、蜘蛛手の森の中をさまよっていると、二人は森に棲む謎の老婆と出会い、二人は予言めいたことを告げられる。武時には「今宵からはあなたは北の館のお殿様、やがては蜘蛛巣城のご城主様」、義明には「あなたのお子はやがて蜘蛛巣城のご城主様」。この予言を聞いてから武時とその妻・浅茅の運命は大きく変わり、予言に誘われるかのように動き出す――。
毎度のことながら前情報なしでチケット確保して開演直前にポスターをちゃんと見たらかつて黒澤明が撮った映画「蜘蛛巣城」をベースとした作品らしいことがわかりました。で、始まってみると早々に「これマクベスっぽくね?」と思っていたら「きれいは汚い、汚いはきれい」という台詞が出てきてマクベスでした。まあ私のマクベス知識は「メタルマクベス」のみなんですけどね。というわけで本作はシェイクスピアのマクベスを戦国時代に置き換えた映画「蜘蛛巣城」をベースにした作品という感じ。数え切れないほどの作品に引用されるド定番のマクベスだけに細かい演出や役者の演技力が試されるわけですが本作を観たあとの感想としては「シェイクスピアって黒澤と同期だっけ?」と思うくらい時代劇にマッチしていてめちゃくちゃ面白かった。今回の舞台版でどれだけ手を加えられてるのかわからないので黒澤版の映画も観ないとなあ。そして役者陣。倉科カナは悪い女がよく似合う。「お勢、断行」でもいい感じでしたね。早乙女太一は実は初めて見るかもしれん。妻に翻弄され狂っていく様が素晴らしい。そしてこのふたりの運命を変えた元凶の老婆を演じた銀粉蝶がヤベー。そしてただの百姓の赤堀雅秋が舞台作品の登場人物でありながら最も我々庶民が親近感をもつ絶妙なキャラクターで最高だった。これぞ人間、という。適当にチケット買ったにしては大当たりだったので前述の通り映画版も観ようと思います。