ネットに影響される人の日記

ネットに影響される人の日記

影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

23. 劇団フルタ丸 2021年 本公演『ねむる広告塔』

furutamaru.com

 

本公演は2年半ぶりだそうてす。ファッキンコロナ。というわけでフルタ丸、そこにありそう感と、多くの人が抱えてそうな罪の意識を描くのが上手いんだよなあ。APOCシアターという狭くて楽屋へ下る階段がある特殊なステージありきの物語でした。ステージへの当て書きなんだろうか。都会の小さな雑居ビルの屋上で年甲斐もなくはしゃぐ3人の大人。この屋上に広告を出す中小零細社長たち。「そういうとき」にノレることが重要な陽キャ。他にもこの屋上にはテナント入居者やオーナーの親族が足を運ぶ。1階の中華屋の娘は憧れて入ったアパレル業界で無能な自分に気付き逃げるように出戻ったが現状はそれなりに満足。4階のPR会社は広告主たちを僻む。オーナーのいとこの大学生はせっかく入った大学がコロナでほぼ在宅のため人生の意味が見いだせない。そこ浮浪者と思われるおっさんが闖入したことから思わぬ展開へ。まあこれだけだと誰でも書けそうじゃねと思われるかもしれんが、緩急が上手いというか、例えば共感性羞恥を呼ぶような表現をやり切ったあとに間で察するシーンとか、ライティングや視線なども含めた演出で作品が一段上に上がるというか、まあ舞台ってそういうもんだろとは思うけどそこをちゃんとできる脚本演出家はそれほど多くないという印象はある。今の満足は自分の思い込みなのかと苦悩する中華屋の娘と、浮浪者と思われたおっさん、終盤のこのふたりのやり取りは圧巻。自分の意見がないのではない、人のために動けることは立派な人生だ。大人が子供に夢を託す、応援する、その意味を大人は真剣に考えなければならない。適度に笑い、適度に泣き、適度に考える、いつもそういうのを見せてくれるので来年の20周年公演も見にいこう。

 

www.apoc-theater.com