ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2022年12月

12月が終わりました。11月分はこちらです。

htnmiki.hatenablog.com

 

また1年が終わってしまった。いや、1年に終わりも始まりもない。年末年始なんて便宜的なものでしかない。時間は続く。ただそれだけだ。何を言ってるのか。2022年が終わることに特に何の感慨もないので適当なんです。というわけで12月分、行ってみましょう。

 

113. ブラックアダム
想定外? にめちゃくちゃ面白かった。いまさらこんなこと言うのもアレたけどドウェイン・ジョンソンがほんのり苦手だったんだよねえ。どこがというわけじゃないんだけど。で、今作の役が非常に陰気で常にしかめっ面でこれがハマりまくっていて今までに彼が演じた役の中で一番好きかも。というわけでほんのり苦手は解消されました。物語は単純で、5000年前に家族を守れなかったアダムが現代で息子を守る母親に手を貸すというお話。そこにヒーローのありかたや善とは悪とはといったお決まりのネタが絡むけど、アダムのキャラが若干トンチキなので暗くなりすぎずかなり気楽に観れる娯楽作品に仕上がってます。息子役の子の顔どこかで見た気がするんだけど気のせいかな。スマッシャーの首が太すぎるのか顔が小さいのか。ラスボスがせんとくんにしか見えなくて困った。


114. ある男
久しぶりにめちゃくちゃ泣いた。こらえきれなかった。世間が勝手に作り出す血の呪いの物語です。殺人犯の息子、兄と比較され居場所がなく家を捨てた男、在日三世の弁護士、この3人の人生が絡み合うときそこには悲しみしかない。殺人犯の息子の人生を中心に描かれ彼が事故で亡くなったあとに残残された妻と子供たち2人。ひとりは妻の連れ子の男子、ひとりは実子の娘。事故から1年が過ぎた頃に母と息子の会話で息子が「1年経つし悲しさはもうない、けど寂しい」と話し、その後に父の正体が判明したことを娘に話すかどうかを母が息子に相談するとしばらく考えてから「いつか僕が話すよ」と母に告げる。前述の通り息子は母の連れ子なので父との血縁は無いが父のことが本当に好きだった。そんな父の人生を父の実子である妹に伝える責任を背負ったのだ。重大なことではあるので母が伝えてもいいはずだがあえて息子に相談した母の気持ちが染みる。かつてこのブログにも書いてる気がするが私も父と血縁はなく父は既に亡くなっている。本作はそういう部分を除いてもとても良い作品だが私の個人的事情により世間から見たら不完全なこの家族に感情移入しすぎて冷静に観られなかった。


115. MEN 同じ顔の男たち
気持ち悪すぎてワロタ。怪作であり傑作。ただしおそらく様々なモチーフがあると思われるのであとでパンフ買ってみるか。禁断の果実とかタンポポの綿毛とかヴァギナ信仰っぽいのとかなんかあるんじゃね。主人公ハーパーが飛び降り自殺で落ちていく最中の夫ジェームズと目が合うシーンで始まります。自殺の原因は単に夫婦仲のもつれかと思いきやどうやらジェームズの束縛がヤバそう。別れを切り出すハーパーに「死ぬ! 俺死ぬ! おまえのせい!」とメンヘラ仕草全開でしまいにはハーパーの顔をグーパンチしてそんなつもりはなかったとかのたまう100点満点のクズ男で部屋を締め出されたらマンション屋上から飛び降りたというとにかくヤベー奴。心のケアが必要なハーパーは田舎のちょっと豪華な一軒家の宿を借りてリフレッシュする。はずだったのに案内してくれるおっさんが気持ち悪いし森を散歩してると妙な男につきまとわれるし草原に出ると全裸男がいて宿に帰るとその全裸男が庭をうろついていて警官男を呼ぶとまあまあとなだめられ夜に酒場へ行くと警官があいつはもう釈放したとか言うし教会のおっさんは話を聞いて癒やしてくれるかと思いきや夫が死んだのはお前のせいだとか言うしクソガキ男子に絡まれるしとにかくクソ男しかいなくてクソすぎる。こいつら基本的に全部女のせいで僕ちゃん悪くないみたいなスタンスですべて許されると思ってる感じでおっさんの私でも吐き気が酷い。終盤の名シーンともいえる無限出産でこいつらが次々と現れて最後にクズ夫ジェームズが出てくるのとか結局最後まで人のせいにして許してほしくてヨシヨシしてほしいだけのクソでクソオブクソでしたね。


116. THE FIRST SLAM DUNK
声優発表で荒れてたらしい。TVアニメ見てないし原作は連載序盤だけ読んでただけ。つまりほとんど知らないんだけど公開直後から絶賛の声が続々と。というわけでミーハーなので観てきました。いやーめちゃくちゃ楽しかったよー。キャラの関係性とかバックグラウンドとか大事なところがわからないのは仕方ない。知らないんだから。知ってれば100倍楽しいんだろうけど。それは置いといて単純にバスケの試合としてめちゃくちゃ面白い。まず本編ほとんど試合ってのがすごい。もちろんキャラの掘り下げパートはあるんだけどとにかく試合を見せるための映画らしい。なのでバスケの基礎程度を知っていれば十分に楽しめるし興奮できる展開だった。そもそもこの湘北・山王戦の結末すら知らないから普通に負ける可能性もあると思っていて最後まで息が詰まる試合にドキドキっすわ。そんな試合を実写では難しいアングルで見れたりで私なんかでも興奮できるんだからバスケ好きにはたまらんだろうなと。原作知らん奴が知ったふうなこと書いてらという感じだけど、原作ファンならではの楽しみ方、初見ならではの楽しみ方、どちらもある作品だと思うので、スポーツが嫌いじゃなければとりあえず観てみればいいかと。


117. アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
前作が2009年ということで13年前のことなど覚えてるはずもなく思い出すところから始まりました。パンドラにある鉱物を地球人が略奪しに行って現地民ナヴィと戦って地球人のジェイクがナヴィのネイティリと恋に落ちてナヴィ側について地球人を撃退した、みたいな話だったはず。で、本作はナヴィに殺された地球の軍人たちが記憶のバックアップをアバターに移植してナヴィの強さを手に入れ再びパンドラに降り立ち「裏切り者」のジェイクを殺しにくる物語。地球人側が完全悪という構図なので展開はとても単純です。かつて殺されたクオリッチ大佐がアバターとなりジェイク殺害のためにひたすら卑劣な手段で迫り続ける。ジェイクたちは森の部族だけど今回は海の民部族に助けを求めて海の美しい映像が多めです。かなり多めです。本作は192分という長尺ですが海の紹介とか諸々をギュッとすれば120分にできるはず! というのはアレですが正直かなり嵩増しされた感があって全体的な印象も薄くなってしまった。メインの戦いとなるジェイクとクオリッチ大佐も軍人のわりに戦略が無いというか、ベストを尽くしたが相手がさらに上を行くみたいなのが見たかったんだけど互いに凡ミスみたいなのばかりでうーんという。そんな中でひとり「変わった子」として描かれるキリがとてもチャーミングでした。エイワと繋がり始めたキリが見せる数々の奇跡は本作一番の見どころかもしれない。このキリを演じたのがシガニー・ウィーバーと知ってなんとも言えない気持ちになるなど。終盤、「来いよベネット、銃なんか捨ててかかって来い」「その者青き衣を纏いて金色の野に降り立つべし」という展開で実質金曜ロードショーでした。大作ならではのど派手な映像もシンプルなプロットも十分楽しめたけどもう少しどうにかできたのではという感じですね。そういや3D吹替HFRで観たんだけど文脈から男女が「盛(さか)って」という場面で「もって」と言っていて翻訳かアフレコのミスっぽい気がするけどどうなんだろね。


118. Never Goin` Back/ネバー・ゴーイン・バック
貧困層の「ブックスマート」という感じでした。女子高生(の年齢)のアンジェラとジェシーは兄や友人との共同で暮らしクソみたいなバイトで僅かな給料を稼ぐ毎日。そんな中でアンジェラはジェシーの誕生日プレゼントにビーチリゾートの宿泊券を贈るがその資金は本来家賃にあてる金だったためひと悶着あるがふたりはビーチリゾートのために頑張る。はずだったが謎の男に押し入られ家財を強奪されるわ兄貴のせいで逮捕されるわパーティー大麻入りクッキーを知らずに食べてラリってバイトクビになるわで散々な目に。しかたないので兄の友人のバイト先で金を奪う計画を立てるがなんだかんだでウンコゲロ祭りとなるなど。舞台がテキサスの貧困地区らしいが身近にこうした場所が無いのでイメージしづらいけどだいたいこんな感じなのかなあとも思う。数年前にはてな界隈でも「あちらとこちら」の話題が盛り上がっていたけど想像以上というか想像すらできない断絶があるんだろう。この映画ではアンジェラとジェシーがふたりでいれば大丈夫っぽくなってるけどたぶん問題は何も解決されておらずこのままの生活がこのまま続くと思われる。外野がそれをどうこう評価するのも違う気がするがこのままでいいというのも違う気がする。とりあえず選挙に行くか。


119. かがみの狐城
カラダ探しと君の名はとレディ・プレイヤー1とコナンを足したような作品ですというのは嘘です。年の瀬に傑作が来ましたね。学校へ行けなくなったこころが母に連れられてフリースクールの担当と面談するところから始まる。こころはイジメられていたが母にも言えずにいた。しかしそれっきりフリースクールにも行けず自室で過ごしていると姿見が光り手を伸ばすと吸い込まれそこには狼のマスクを被った子とお城と6人の少年少女たち。どこかにある鍵を探し出せば願いが1つ叶えられる。猶予は約1年、願いを叶えるとここでの記憶は消える、願いを叶えなければ記憶は残る、そう狼は告げる。こころを含め7人が自己紹介すると全員中学生であることがわかる。つまり全員訳あり。それぞれが抱える問題に触れずにここの時間を楽しむが……という物語。かなり残酷な描写もあるのでトラウマを呼び起こされる人もいそうで要注意かも。決して救いのない結末ではないけれど毒にも薬にもなるレベルではか「若おかみは小学生!」に匹敵するかも。ただ、子供がどこまで理解できるかはとりあえず気にせず子供のうちに観ておいたほうがいい作品だとは思う。もちろん子育て中の親御さんたちも。大人びたアキの窮地を6人が救い、そのアキが他の子たちを支えるのは熱い。思わず吹いてしまったシーンが1つ、ご近所さんで唯一の友達の萌がこころに加害者たちはしょうもないし加害者のたちの将来も相変わらずしょうもないだろうと告げる。笑ってしまったが「これだよこれ」という感じ。加害者にも人権が、加害者にも将来が、たまに聞かれる言葉だがそういうことではないだろと。萌の言動は確実にこころに響き時間が進み始める。そしてこころの母とフリースクールの先生の寄り添い方が素敵。実際は子供側も屈折していてスムーズにはいかないケースも多いだろうけど「○○しなさい」ではなく「何がしたいか」を一緒に考えてくれる大人の存在は大きい。対照的な学校教師の酷さはまあね。とにかく良作なのでオススメです。エンドロールで原作が辻村深月、監督が原恵一、脚本が原恵一とのタッグも多い丸尾みほと知り納得感。ひとつだけ気になったのは音楽がいちいち大袈裟でちょいちょい現実に引き戻されるなど。まあでもあれくらいでもいいのかなあ。


120. フラッグ・デイ 父を想う日
虚言癖の男に騙されて結婚して娘と息子をもうけた母が子供たちに捨てられる。子供を守るために厳しさも見せる母に対して家のことは妻に丸投げで子供と遊ぶだけの父。社会が見えない子供には父が良い人に見える。まあこの母はそれだけじゃないヤバさがあるんだけどそれを考慮してもなお「家事育児丸投げでいいとこ取りする父」に最後まですがる子供を見ているとさすがに母に同情したくなる。「子供の人生に責任を追わず幼少期に遊んでくれた」思い出だけで子供からの評価が 父>母 になるの辛すぎん? これがずっと引っかかってしまい最後までモヤモヤしてしまった。あとこの父が息子には関心なさすぎてもうね。クズが美化されるのはなかなかつらい。そういやこの作品は監督主演がショーン・ペンで娘役に実娘ディラン・ペンを起用したらしい。本人たちがそれでいいならいいんだけど役者ってすげえな。実の親子で親子役とかよく恥ずかしくないもんだ。

 

ではまた1月分で。

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