ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2025年2月

2月が終わりました。1月分はこちらです。

htnmiki.hatenablog.com

 

以前は休日となると映画を2本3本観る生活でしたがここ1年くらいはバイクに乗るのが楽しくて雨が降らない週末はだいたいどこかへ走りにいくしさらにジム通いも始めてしまいそちらもそこそこ時間を食われるので必然的に映画を見る時間が減ってしまいました。見たい作品はたくさんあるので見逃してしまうのが辛いんだけど限られた時間のなかで全てを得ることはできないという当たり前のことに気づいたアラフィフですこんにちは。

 

 

7. ミッシング・チャイルド・ビデオテープ

静かなホラーってもの良いね。明確な悪意もこれといった攻撃性もジャンプスケアも無いひたすら静かな物語でした。幼少期に弟とたどり着いた山の廃墟で弟たけが失踪して13年。ルームメイトの「見える」友人とそこへ誘われるように出会う地方紙記者が山へ向かう中で起こる不可解な出来事はゾッとするけど拒否感のある恐怖とはなにか違うので不思議な感覚で見ていました。結局のところ山の意思は明らかにならないのだけどその余韻がむしろ心地良いというか。ある意味でJホラーの真骨頂なんじゃねと思うなど。なかなかおもしろい作品でした。突っ込みたいところがあるとすれば山の主とビデオカメラの関係かな。主はなぜビデオカメラを使うのか。謎だ。


8. 勇敢な市民

権力者のドラ息子が悪の限りを尽くす高校に赴任した非正規教員ソ・シミンが正規教員になるために校内の悪事をみて見ぬふりをする物語、ではなくひとり巨悪に立ち向かう物語、でもあり実は多くの仲間たちと勝利を勝ち取る物語です。シミンのキャラクターがとてもチャーミングで軽快な雰囲気でありながら行われているドラ息子の悪事は洒落にならない絶対悪でドラ息子自体がちゃんと強いのでおもしろい。最終的に跪いて謝る悪なんて見たくないしね。シミンのアクションもなかなかのもので見応えがあるしラストの新任シーンからも「ごくせん」的なシリーズ化が見込めるのでぜひお願いしたい。


9. トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦

一部界隈で話題らしくツイッターにぼちぼち流れてきて気になったので観てみました。香港映画に詳しくないので適当に言っちゃうけど昔の香港映画っぽくてそこへ現代の映像技術で復活した九龍城砦の猥雑な圧が強烈で世話になった仲間のために戦う物語は安心して見られるしワイヤーアクションらしいワイヤーアクションも久々に見た気がするし観てよかづたと思える作品でした。本物の九龍城砦は見てみたかったなあ。ラスボスは気功により肉体がカチンコチンになるので私も気功を習得していつか勃たなくなったときにカチンコチンにしようと思います。キャストが三浦友和っぽかったり三又又三っぽかったりしておもしろかったです。


10. 第五胸椎

映画.comの「今週公開」を眺めてたらなんとなく気になったので観てみました。マットレスに生えたカビが変異して忍び寄る物語です。「それ」が発生する前から「それ」が途方もない時間を過ごす様子まで描かれて壮大な物語ではあるんだけどたった60分程度の作品なのでサクサクあっさり進みます。ある時は幸せそうなカップルのもとで、またある時は別れ際のカップルのもとで、さらにはトラックドライバーのもとで、「それ」は人間の心臓に近い第五胸椎を狙い侵入する。サクッと死ぬ場合もあるようだけど、ある被害者は「それ」の存在に気付いて死に際にもう会えない娘へのメッセージを「それ」に託し、「それ」は長い年月を経てメッセージを届けようとする。結局「それ」が何だったのか目的もわからないままだけどそういうものがあってもいいと思える作品だった。上映後のトークイベントで蜷川実花のビビッドな色使いに触れてしそういうテキストもあった気はする。


11. キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド

これがベンダーロックインか。(違う)今まで観てきたから今回も観ました! スティーブがサムに盾を託したのってエンドゲームだっけ? もはや記憶が定かでない上にディズニーチャンネル独占配信作品が前提となる映画なのでいろいろ浦島太郎状態ですが観ればちゃんと面白いのがすごいよね。アメリカ大統領の裏にいる黒幕に操られた人々が突然凶暴化して果ては大統領がハルク化するというドッタンバッタン大騒ぎで日米首相決裂からのインド洋で戦闘機と軍艦の運動会が始まるしそもそもインド洋のでっかいやつあれ何なの聞いてないよでもまあいいかところで30年前に大統領やってたハリソン・フォードが30年後も大統領やってるのウケるし世相を反映してるなと思うもののそれていいんかハリウッドという気持ちもありもはや水戸黄門的様式美といった趣きもあるマーベルシリーズですが冒頭のパラパラ漫画みたいなやつが無くなったのは驚きました。あれがマーベルのアイデンティティなのかと思ってたので大胆なことするなと。そして毎度のエンドクレジット後のあれはやはりマルチバースなのかね。うーむ…… そういやレッドルーム出身の女はナターシャと絡むんだろうか。あの子可愛かったのでもっと出して。


12. ドライブ・イン・マンハッタン

タクシーでの会話劇っぽいから観てみました。会話劇好きなんだよね。で、おもしろかったわー。軽妙なトークもちょっときついジョークも煽りも泣きも全部盛りでさすがだなと。ただ、冷静になるとただの不倫女と説教おじさんなのでこれをおもしろいと感じてしまっていいんだろうかとも。テクニックにハメられてる感もあったりして。だとしてもおもしろかったならそれでいいじゃんとも。なんだか面倒くさくなったな私も。不倫相手が父親のようなおっさんというのは父親を求めていたからという前時代的な分析トークでマウントとるおっさんとか実はそのまんまの理由だった不倫女とかマジで昭和かよって感じでうーんこれは本当におもしろかったのか騙されてるのでは。ダメだもっとシンプルに楽しまなければ。ところであのおっぱい写真は本物なのかな。なかなかのナイスおっぱいでした。良いおっぱいをありがとう。


13. 死に損なった男

飛び込んで死のうとした電車が隣の駅の人身事故で到着しなくて死に損なった男がその事故で死んだおじさんに取り憑かれて娘に危害を加える男を殺せばお前の前から消えてやるからはやく殺せと脅迫される物語です。お笑い界隈に詳しくないので名前くらいしか知らない水川かたまりとこちらも例の騒動で名前を聞いたことくらいしかない唐田えりかですがふたりとも良い意味で素人感が出ていてとてもよかった。プロの役者って上手すぎてそんな素人いねえよ感が出がちなので。そして結構怖いキャラクターの幽霊の正名僕蔵がマジで怖い。死に損なった男と幽霊の娘の出会いが不自然ではあるけどその後の流れはあるあるで違和感無くて死に損なった男と幽霊の共同作業のシーンの水川かたまりの笑顔にじんわりきてしまったので良作決定ですね。たぶんいろんな芸人がちょい役で出てるっぽいのでその界隈に詳しい人はそういい楽しみ方もできるようです。


14. どうすればよかったか?

真っ黒の画面と発狂する女性の声、原因究明や説明を目的としていない、という断りが冒頭に映される。某コミュニティで鑑賞報告が続いて気になっていた作品をようやく観てきました。統合失調症(当時は精神分裂病と呼ばれていた)のような症状が見え始めた姉、適切な治療を受けさせることができなかった両親、最悪の事態まで考えた弟、この家族の様子を弟が撮影したドキュメンタリーです。両親ともに大学で医学の研究を行うエリートのもとに生まれた姉は自身も医学の道を志し弟も同じ道に向かいかけるも映像の道へ。手にしたカメラで撮り始めたとき既に10年近くが過ぎていた。「どうすればよかったか?」に観客はいろいろ考えるし「こうすればよかったのに」と思うだろうし私も思った。母の認知症が進み始めた頃にようやく姉を入院させることができてここまでに25年が過ぎていた。この25年に姉と会話は成立していない。入院中に合う薬がみつかり姉は3ヶ月で退院して、戻ってきた姉とは普通に会話できた。「どうすればよかったか?」エリートの両親は子もまた優れており立派な人間になると信じていたし信じたかったんだろう。会話の成立しない娘を諦めきれなかったんだろう。優れた立派な人間でない娘を恥じ隠したかったんだろう。研究者ほどの賢さをもってしても目の前のことを直視できないのか。最後に「どうすればよかったか?」と問われた父は「失敗したとは思っていない」と答えた。ちょっと感情が迷子になってるので、一旦受け止めようと思う。序盤に姉は弟思いで面倒見が良いと紹介され25年間その面影すら無かったが退院後の姉からは弟思いでお茶目な様子が見られたことがとても嬉しかったと同時に失われた時間の長さに深いため息をついた。


15. 銀幕の友

25分程度の短編です。次の予定までのつなぎで見れる映画を探してたまたま見つけた作品です。1990年のアジア大会が閉幕した翌日、映画の無料上映会のチケットを配る女、知人を訪ねてくる男、その知人にチケットをもらい映画を見にくる男と再会する女、男の斜め後ろに座る女、ただこれだけの作品です。このあと女と男に何か起こるのか、いや起こらないだろうな、でももしかしたら何か、いや、無いな。描ききらないのが心地良いし最後の女の表情は平和だった。25分はあっという間だし何も起こらないのに物足りなくないし爽やかな気分で映画館を出られたので良い体験でした。

 

ではまた3月分で。

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