ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

16. 日本総合悲劇協会Vol.7「ドライブイン カリフォルニア」 - 大人計画

otonakeikaku.net

裏手に古い竹林が広がるとある田舎町のドライブイン

経営者のアキオ(阿部サダラ)は妹に対して、兄妹愛と括ってしまうにはあまりにも純粋な思いを抱いていた。妹マリエ(麻生久美子)は14年前、店にたまたま訪れた芸能マネージャー若松(谷原章介)にスカウトされ、東京でアイドルデビューするも結婚を機に引退。その後、夫の自殺など数々の経験を重ね、中学生の息子ユキヲ田村たがめ)と共に地元に帰ってくる。

このカリフォルニアという名のドライブインには、腹違いの弟ケイスケ(小松和重)、アルバイトのエミコ(河合優実)が働いていた。そして兄妹の父親ショウゾウ(村杉蝉之介)、高校教師の大辻(皆川猿時)、アキオの恋人マリア(川上友里)、若松の妻クリコ(猫背椿)、クリコの不倫相手ヤマグチ(東野良平)などを巻き込み、複雑に時が流れだす。

 

■作・演出
松尾スズキ
■出演
阿部サダヲ / 麻生久美子 / 皆川猿時 / 猫背椿 / 小松和重 / 村杉蝉之介 / 田村たがめ / 川上友里 / 河合優実 / 東野良平 / 谷原章介
■会場
本多劇場

 

フリムンシスターズ」や「命、ギガ長ス」でほんのり感じていた松尾スズキ作品に対するある種の負の感情が払拭されて久々に爆笑してしまった。いやーおもしろかった。ある経緯からいつか死を選択してしまうのではないかと恐れる兄妹を中心に、地域に伝わる習わしによる呪縛、己の潔癖性に無自覚な男、その男に拾われる女、抜けてるようで腹黒い男、天真爛漫で素性のわからない女、などなど、いずれも強烈なキャラクターで支離滅裂になりそうだけど基本的にみんなの動機が愛なのでバラバラに見えても一貫している。錚々たる出演者たちの中にもかかわらず最年少の河合優実が素晴らしかった。悲しくても涙が出ないエミコが最後につぶやいた言葉でおそらく彼は成仏できたのでしょう。役どころが良いのを差し置いても河合優実の技量に圧倒された。コメディも行けるのは強い。阿部サダヲ皆川猿時の絡みのカオス&フリーダムっぷりは何度でも見たい。終盤の皆川猿時による紙芝居はベタなんだけど腹抱えて笑ってしまった。ベクトルは違うんだけど佐藤二朗佐藤二朗感あるように、皆川猿時皆川猿時感がある。「かたとき」で爆裂していた川上友里は今回も爆裂していた。すごい。初めて見た東野良平は冒頭の猫背椿との掛け合いのハマりっぷりに松尾作品常連になる予感。世間のイメージを踏襲しつつどこか歪な役の谷原章介はこういうのも行けるんだな。麻生久美子は声が良い。いつも言ってるけど声が良い。阿部サダヲはつい最近「死刑にいたる病」やその舞台挨拶で見たばかりで役者も大変だなと。劇団員の皆さんはもう言うまでもないんだけど田村たがめの少年ぽさヤバいな。私の中で未知の扉が開いた感がある。というわけで本作、久しぶりに観劇後にもう一度観たいと思った作品となりました。

 

natalie.mu

 

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