ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり。

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー | ブレイディみかこ

honz.jp

ジャケ買いならぬタイトル買いです。正直なところ記事はほぼ読んでません。作者のブレイディみかこさんが息子のことを書いた本、そのタイトルが「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」、まあこれだけで十分かと。この記事を書いた首藤淳哉さんごめんなさい。紹介してくれてありがとうございます。

ブレイディみかこさんが書いた文章は何度かネットで読んでいて、特にこれ!という記憶はないけど読みやすくて興味深いものを書いてる人という印象を漠然と持っていました。そしてこのタイトル、ズルいですよね。私はもういいおっさんですがタイトルだけでなんかこうキューーーッてなっちゃったよ。チョロいなー俺チョロいわー。

というわけで読んでみたところ予想以上にキューーーッてなったし笑ったし考えたし泣きそうになったしチョロいのも悪くないですね。結果的にハズレを引くことがあるかもしれないけどこれからもチョロく生きようと思います。

本の内容は上記の記事や他のサイトに任せるけどざっくり言うと英国で暮らすブレイディみかこさんの息子の成長記録とそれを通した英国事情やマイノリティとして生きることについて時に真面目に時に面白おかしく独特のテンポの文章で書かれたものです。私は知らなかったのですが彼女は音楽ライターをやっていた(いる?)らしくてこの読みやすさはその影響も大きいのかなと。音楽マニア以外には嫌われがちな○キノン界隈の気持ち悪い語り口(酷い偏見)が感じられないのは彼女ならではなのか、音楽評だと彼女もそうなるのか、どうなんでしょうね。あ、私はああいう文章嫌いじゃないですけどね。持論ですが音楽好きな人は、詩にこだわりが強いタイプと、曲にこだわりが強いタイプがいると思っていて、彼女は後者ではないかと想像します。間違ってても知らん。ちなみに私は後者です。だから詩にこだわりが無いということではなく、より強いのはどちらかという話ね。そういう人が書く文章はノリが良いというかテンポよく読めるというか文章にリズムがあるというかそういう気がします。ではなぜ私の文章がそうではないのか。知らんがな。才能もなければ努力もしてないからだよ!ファック!

本題に戻ります。これね、読んでみると多くの人が感じるんじゃないかと思うんだけど、息子くんの魅力がハンパない。様々な場面で溢れ出てしまう主人公感がヤバい。チート?人生何周目?強くてニューゲーム?私みたいな生まれながらのモブキャラからすると若干の僻みも言いたくなるくらいのレベルなんすよ。なんなのもう!みたいな。でもね、そうは言っても11~12歳、私も経験したような学校での諸々に加えて、英国でもマイノリティ、日本でもマイノリティ(彼は日本語を話せない)、英国の教育事情、ある意味特異なかーちゃん(失礼)、そしてここまで登場しなかったある意味普通のとーちゃん(アイルランド人、カトリック、トラック運転手)、こうした環境の中でそりゃあいろいろありますわな。それでもほとんど悲壮感が漂っていないのは両親の影響も大きいだろう彼の性格の為せる技といったところでしょうか。まあね、身も蓋もないこと言っちゃうと前述の通り息子くんは日本語を話せないので本書の中での彼の言葉はすべて母であるブレイディみかこさんによる翻訳です。そして登場人物がみんな魅力的なのはプロのライターである彼女がそれぞれキャラ立ちさせた結果でもあると思います。ただ、それらの事情を差し引いてもとても面白いです。ボーッと過ごしていたら見逃しがちなこともしっかり気づいて糧(orネタ)にする姿勢は真似したいですね。あと、さっき「普通」と書いたとーちゃん、バランサーとしてめちゃくちゃ重要なポジションを担ってるので誤解のないように。

というわけで、わりとサクッと読めるボリュームで、なにより面白いので、タイトルでピンとくる人(≒私と感性がかぶる人)にはオススメですね。

ちなみに私はここ数年の読書はほとんどKindleですが様々な機能を全然使っていなくて今回初めてハイライト?やメモ(コピー)しながら読んでみたので特に印象に残ったフレーズをいくつか紹介します。

 

彼はブルーの正しい意味を知っていたのだろうか、それとも知る前だったのだろうか

タイトルに関わるかなり重要なポイント。これ私もめっちゃ気になる。けどこれは謎のままのほうがいいんだろうな。

英国の中学校教育には「ドラマ(演劇)」というれっきとした教科がある

役者養成ということではなくいわゆるコミュ力(自己表現能力、創造性など)を高めるためらしい。なんか良いなと思った。まあ向き不向きもあるだろうし苦手な人にはひたすらきつい授業かもしれないけれど。(他の教科もそうなんだけどね)

ダニエルと僕は、最大のエネミーになるか、親友になるかのどちらかだと思う。得意なことが似ているからね

ほら出た!主人公感!無かったわー、俺の人生にこんなセリフ無かったわー。

「無礼で粗野な振る舞いに象徴される下層階級の若者」とオックスフォード英英辞典が定義するチャヴ

どこかで聞き覚えある言葉だと思ったけど映画「キングスマン」ですね。本編で出てきたのか誰かの作品評で見かけたのか忘れたけど。タロン・エガートン演じるエグジーは典型的なチャヴ/チャブ/Chavとして描かれてます。

誰だってアイデンティティが一つしかないってことはないはず

通うことになる中学校のサイトに「ブリティッシュ・ヴァリュー(英国的価値観)の推進」と書かれていることについてのブレイディみかこさんと校長先生の会話の中での校長の一言。

シティズンシップ・エデュケーション(日本語での定訳はないのか、「政治教育」「公民教育」「市民教育」と訳され方がバラバラのよう)

日本の感覚だと「バランスよく教えられる教師なんているの?」とか思っちゃうよね。

保守党政権が大規模な緊縮財政を始めてから、その財政支出削減の影響がダイレクトに貧しい層に表れ、2016~17年度では、平均収入の60%以下の所得の家庭で暮らす子どもの数が410万人に増えていた。これは英国の子どもの総人口の約3分の1になる。

なるほど……

うちの息子はわたしが人種差別される姿を見て育っている。

日本で日本人の両親のもとで日本人として育った私には想像もできないっすね……

母ちゃんはあの感じ、忘れないほうがいい

ここグッとくるポイントなのでぜひ読んでください。

未来は君らの手の中

「僕ら」ではなく「君ら」ということでいいんだよね?(わかる人にはわかるやつ)

ソルニットは、同性婚は伝統的な婚姻に対する脅威だという保守派の主張は、否定するより、むしろ称えよと書いている。

まあこれも100%頷けるものでもないんだけどひとつの考え方として面白い

じゃあ、母ちゃんって聖母マリアなの?

ここ爆笑ポイントです。読みましょう。

世の中が退行しているとか、世界はひどい方向にむかっているとか言うのは、たぶん彼らを見くびりすぎている。

子供ナメんなよと。

僕は、人間は人をいじめるのが好きなんじゃないと思う。……罰するのが好きなんだ

「人間は、よってたかって人をいじめるのが好きだからね」と言うかーちゃんに対する息子くんの言葉。いやだから人生何周目だよ。

いまはどっちかっていうと、グリーン。

いや、グリーンって、もちろん『環境問題』とか『嫉妬』とかいう意味もあるけど、『未熟』とか『経験が足りない』とかいう意味もあるでしょ。僕はいま、そのカラーなんだと思う

 環境問題にも関心がある息子くん。これ中1?ふざけんなよ!中1の俺なんて鼻水垂らしてうまい棒食ってた記憶しかないよ!(そんなわけあるか)

 

というわけでこちらからは以上です。