ネットに影響される人の日記

ネットに影響される人の日記

影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

19. 横浜能楽堂特別公演 狂言「二千石」 能「井筒」

f:id:htnmiki:20211018185948j:plain

 

メゾン・ド・ハラに行くために横浜エリアでの用事を無理やり作ろうとグーグルマップを開いて「劇場」と検索したら横浜能楽堂が出てきました。サイトを見てみるとちょうど良さげな公演があったのでチケットをポチっとな。狂言も能も初体験です。そのうち見てみたいとは思っていたものの、なかなか機会がなくて。しかも基本的に「日本語でおk」な世界だと思っていたのでイヤホンガイドがないときついかなと。で、今回の公演、イヤホンガイドなしでした。まあ結果的にはそこそこ楽しめたというか、公演案内の簡単なパンフレットみたいなやつに書かれていたあらすじを公演直前に読んでいたので、ところどころ聞き取れる台詞とあわせてなんとなく理解できたという感じ。

 

まずは狂言「二千石」(じせんせき)です。これは結構わかりやすい台詞回しというか聞き取れる部分も多くて笑える話なので私のようなド素人にはもってこいの入門編でした。パンフのあらすじを下にまるっと引用しておくのでご一読を。太郎冠者と主人のやり取りが私の世代には懐かしいドリフのバカ兄弟を彷彿とさせる爆笑モノでおもしろかったなー。これはたぶん30分もなかったと思う。サクッと見れて笑える初心者向きでしたね。

 

次に能「井筒 物着」です。こっちは正直何度か意識が飛んだ。マジで何言ってんのかわからんし、後ろのお囃子みたいな「よぉーっ、ポンッ!」のやつのリズムとお経のような合唱団が余計に眠りを誘うというか。ただしこちらもあらすじは読んでいたのでなんとなくの流れはわかるためどうにか食らいついていたら、終盤に紀有常の娘の霊が在原業平の形見を身につけるところからなんか凄くて見入ってしまった。有常の娘が業平を思い懐かしむその表情、といっても能面なので表情は変わらないんだけど、そこには確かに思い懐かしむ表情があったんだよね。これは驚きの発見だった。物語の背景と役者の所作、これであの能面に活きた表情が現れるのかと。これだけで初体験の意義はあったかな。

 

次の機会があるかはわからないけど、少なくとも狂言はまた観てみようかな。能はなぁ、ガイド付きでもっかい試してみるか。

 

狂言「二千石」(大蔵流善竹彌五郎

 召使の太郎冠者が無断で旅に出たことに腹を立てた主人は、太郎冠者の家へ出向き、叱りつけます。しかし太郎冠者が京都見物へ行ったと詫びると、京の話を聞きたい主人は太郎冠者を許し、京の様子を尋ねます。すると太郎冠者は、京で「二千石」という謡が流行っているといって主人に謡って聞かせます。そして、みだりに謡った太郎冠者を手打ちにしようとしますが……。
 二千石とは中国・漢の時代の郡の太守の禄が二千石であったことから、地方長官のことを意味します。主人が「二千石」の謡の由来を語る場面が見どころの一つで、この語りを独立して演じることもあります。

 

能「井筒 物着」(宝生流)宝生和英

 諸国一見の僧が、大和国(現在の奈良県)初瀬に向かう途中、在原寺に立ち寄りました。ここは在原業平と紀有常の娘夫婦が住んでいた場所。僧は二人を偲び弔います。そこのい一人の女が現れ、塚に花と井戸水を手向けます。不審に思った僧が問いかけると、女は、この塚が業平の墓であると言い、業平と紀有常の娘のことを語ります。
 業平は紀有常の娘と結ばれながら、河内国(現在の大阪府)高安に住む女のもとへ通うようになります。しかし、妻は、これを恨まず「風吹けば沖つ白波龍田山 夜半には君がひとり行くらん」と歌を詠み、ひとり夜道を行く夫のことをあんじたのでした。心打たれた業平は、その後、高安へ通わなくなったのです。
 さらに女は、業平は有常の娘が幼い頃、井戸の水に互いの顔を映し心を通わせたことや、二人が成人した後、「筒井筒 井筒にかけしまろが丈 君ならずして誰かあぐべき」と歌を詠み合い結ばれたことを語ります。そして、自分こそ「井筒の女」と呼ばれた紀有常の娘であると名乗り、井筒の陰に消えていきます。
 月の輝く秋の夜更け、僧の前に業平の形見の冠と衣を身につけた有常の娘の霊が現れます。女は、昔を思い起こし、業平と一体になったかのように舞〈序の舞〉を舞います。そして、井戸を覗き込み、水に映った姿に業平の面影を見て懐かしみますが、やがて夜も明け、姿は消えていくのでした。
 世阿弥が、自身の芸談書「申楽談義」で「井筒 上花なり」と、高い評価を与えている鬘物の傑作です。「伊勢物語」を題材としていますが、二十三段を中心に、十七段、二十四段などを一連の恋物語と見る、中世の解釈に基づいて作られています。
 本日は、「物着」の小書(特殊演出により、シテは中入せずに後見座で後場の装束を身に着けます。

 

今年の観劇一覧。

htnmiki.hatenablog.com

 

狂言・能を鑑賞する前のランチはこちら。

htnmiki.hatenablog.com