
作・演出:岩松了
出演:松雪泰子 / 坂東龍汰 / 谷川昭一朗 / 中村加弥乃 / 但馬智 / 岩松了
龍臣(たつおみ/岩松了)と吟子(ぎんこ/松雪泰子)は若いころ、アウトローの生き方を貫いて、悪事も働いた。そして結婚して子供ももうけたが、今は、2人の子供たちも独立して、カタギの家庭を築いている。
すでに男と言うには歳が行き過ぎてるように見える龍臣に対して、吟子はまだまだ女盛りと言えたし色気も充分で近所も認める「いい女」だった。
そんな二人の家に配管工事にやってきた若い男・澤田一寿(坂東龍汰)。その完璧な仕事ぶりと、まだ30歳にも届かないように見える若さに、ときめきを覚える吟子。一寿もそんな吟子に言葉巧みに近づいてゆく。
吟子の提案で新たに悪事の計画を進めることになった夫婦。その企みに一寿も参加して3人の奇妙な共同生活が始まる。龍臣と吟子の世界に、深く入り込んでいく一寿。始まりは行きあたりばったりの思い付きが、抜き差しならない状況まで暴走していくように見える一寿という男の企みとはいったい――。
そして、3人の危険な関係はどこへたどりつくのか―――。
昨年4月以来のM&OPlays作品です。さらに岩松・松雪コンビは2023年にも。岩松了の作品に松雪泰子なら間違いない。ただ、ここしばらく岩松作品がわりと難解気味だったので今回はどうかなと思いつつも観てみたらめちゃくちゃわかりやすい物語で久々に鑑賞後にモヤモヤを抱えずに帰路につくことができました。だいぶ冷めてしまった熟年夫婦のもとに若く野心ある男が現れたら熟女はもうたまりませんわな。というわけで色欲ババアと化した松雪泰子がおっさん(私)に刺さりまくります。ありがとうございます。色欲ババアと青年の関係を疑いつつ弄ぶ夫、青年の元カノ、夫の仕事仲間とその娘、彼らそれぞれの欲望が向かう先は、という物語。とにかく松雪泰子がエロい。露骨なエロさだけでなくやはりあの声がたまらん。追い詰められていく青年が熟女を鬱陶しく感じ始めたときの縋り付く熟女のエロさと滑稽さがじわじわくる。夫の仕事仲間に認知症の初期症状が現れ始めていると思われる感じとそれを内心では小馬鹿にしつつ表面上は取り繕いながら利用する夫の非情さ。金のために謎の熟年男に娘を売る仕事仲間にその状況をはなから諦め受け入れている娘。わりと地獄しかない状況でこの娘の明るさが一時の清涼剤のようで助かる。が、それが余計にいたたまれない。結局この夫婦に関わる人みんなまともには生きられないことをわかっておりその上でただもがくしかないことへの苛立ちとやるせなさからいつか爆発するのではと思ってしまう。結末は示唆されつつまだ「それ」が起こる前の回想シーンで終わる。後味の悪さはあるもののたったひとつのきっかけですべてが崩れていくように見えるがそもそも不安定な土台に無理やり積み上げてきた人生がたどり着く場所はこんなもんだよね感もありわりと平凡な人生を歩んできた私ですらゾワゾワする作品でした。娘役の中村加弥乃を初めて見たけど若かりし頃の加藤ローサっぼくてとても可愛らしく演技も上手くてかなり良かったですね。また岩松作品に呼ばれそうな予感。