1月が終わりました。12月分はこちらです。
2023年も張り切っていきましょう。1月は週末にいろいろ用事があって映画を観る時間がなかなか取りづらかった。スケジュール管理は毎年の課題ですね。あとは観たい作品が近所で上映してない件は郊外民のつらいところですが時間を作って都内へ足を運びたいところ。そろそろアカデミー賞の話題が出てくる頃かと思いますが今回は何が話題になってるんでしょうか。既に観ている作品が候補にあがると気になりますがどうなることやら。というわけで1月分、行ってみましょう。
1. 非常宣言
ソン・ガンホとイ・ビョンホンが共演し、飛行機内でのウイルステロを描いた作品です。飛行機内のテロを予告した動画が発見されるがいたずらだろうとのんびりしてたらガチだった。謎の粉末を喘息の吸入器に入れて飛行機に持ち込んだ若い男が機内のトイレにその粉末を仕掛けた後にトイレを利用した人が突然出血して死亡する。機内と地上のやりとりからテロリストが特定されバイオウイルスだと判明するが無敵の人論法で乗員乗客絶体絶命の中テロリスト自身も感染して死ぬ。ハワイ行きの飛行機は緊急着陸を要請するがアメリカ政府が拒絶する。仕方なく韓国へ引き返す途中で成田に緊急着陸を要請するが日本政府が拒絶する。強硬に着陸を試みようとすると自衛隊機が威嚇射撃を行い撃ち落とす気まんまん。さてどうする、というお話。地上のソン・ガンホと機内のイ・ビョンホンがいずれも派手なところはなく地味に活躍するのでくどくない。諸外国から着陸拒絶されたウイルス爆弾と化した飛行機は自国民からも拒絶され上空で厳しい決断を迫られる場面は息が詰まる。とっかかりである「どうやって持ち込むか」は要検証というかそこでやんなよという感じだけど全体的になかなかよくできたクライムサスペンスでとても面白かった。機内で奮闘するチーフパーサーの女性(キム・ソジン)が好きすぎる。顔も好みだし役柄も素敵です。事件発覚直後に「マニュアル通り会見」とか言ってた国交大臣の女性(チョン・ドヨン)も熱い役柄で素敵。大スターの男性2人はもちろんですが女性たちの活躍も見どころのひとつです。
2. 名探偵コナン 灰原哀物語〜黒鉄のミステリートレイン
よく知らずに「おっ? スピンオフか?」と観に行ったらTV版の再編集だかなんだかよくわからんけど春の新作が灰原哀の話らしくそれに繋がる灰原哀の軌跡みたいな作品でした。林原めぐみの声は好きなのでたくさん聴けるのは良いですね。序盤は灰原哀の紹介でそれ以降は行き先不明のミステリートレイン内で行われる探偵ゲームに乗じた殺人事件が起こるといういつものアレです。そこにたまたまいろんな人が乗っていてなんやかんやありますがツノ女のアクションが無かったのが少し残念です。そういえば灰原哀の元の姿を見るのは初めてな気がする。以前の映画でアムラーが大量発生した安室の立ち位置がよくわからなくなった。結局あっち側だったの? 歴史の長いシリーズを2時間に満たない時間でまとめるのはさすがに無理があるか。そのせいもあってか全編通して台詞の量が膨大でちょいちょい意識が飛びそうに。私のスペックでは処理しきれません! ともあれ春の新作は楽しみですね。なお本作で最も衝撃を受けたのが毛利小五郎(38)です。38歳!? 嘘だろ!!!!!
3. 恋のいばら
元カノと今カノが共同戦線を張るとき二人の関係の結末は、という物語でした。健太朗の元カノ桃はリベンジポルノが怖くてそういう写真を消してほしいがブロックされていて取り付く島もない。そこで今カノ莉子に近づき健太朗のパソコンから消してほしいと頼むが相手にされずとりあえず連絡先だけ渡せた。今カノ莉子にも実は思い当たる節があり元カノ桃に会い共同戦線を張ることに。健太朗宅への侵入方法や過去の恋愛事情などをかたり合ううちに友情ともいえるような絆を感じ始めるが……という物語。ところが終盤に衝撃の事実が、と書くと安っぽいけど元カノの目的が実は健太朗ではなく今カノ自身だと判明してからの走馬灯がゾクゾクする。これは一本取られましたわ。私はチョロいのでこれは傑作です。松本穂香が地味女で玉城ティナが派手女というキャスティングはあざといけどこの作品では正解だな。とりあえず浮気はやめましょう。ほんのり百合風味も大好物です。
4. ファミリア
大手プラントに勤める学はアルジェリアのプロジェクトで知り合ったナディアと結婚して実家の父誠治に報告に行く。そこへ逃亡中で満身創痍のブラジル人マルコスが現れなんだかんだで治療してもらう。後日友人のエリカがお礼に訪れブラジル人団地のパーティーに誘う。戸惑いながらもブラジル人コミュニティとの関わりを楽しむがマルコスは夢がないという。曰く、ここではよそ者で使い捨てられるだけだと。この街の闇を牛耳るMIYAVIはとある理由でブラジル人を恨み激しい暴力で支配する。誠治は友人で警官のたかちゃんに相談するもなかなか手を出せずにいると。自分の仕事である陶芸に興味を持つマルコスに親しみを覚える誠治に訪れる突然の不幸と決断。誠治とたかちゃんはともに親を知らずに育っており「家族」に対する思いが人一倍強い。彼らができることとは。という物語です。在日ブラジル人コミュニティのリアルが描かれているらしく私を含め日本が彼らにしてきたことが重くのしかかる。さらに現在の日本の状況から近い将来日本人自身が彼らの立場になることが予想されるのもきつい。言葉や文化や歴史が異なる者たちに生まれる絆を何と呼ぶかは状況によるが少なくとも彼らは家族と呼べる関係になっていくと願いたい。マルコスとエリカの佇まいがいつまでも残っている。MIYAVIはヘルドッグスでもこんな感じだったので他系統もたのむ。セックスは楽しいものであってほしい。悲しい表情のセックスなんて悲しいよ。しかしそこは全部脱がなくてもよかったのでは。
5. パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女
傑作「ベイビー・ドライバー」を意識してるかどうかは置いといて凄腕ドライバーが過酷なミッションに立ち向かう物語なのでまあそういう目で見られてしまうだろう作品です。しかもそこに子供とのバディ物というベタ要素も加わりベタの幕の内弁当感がある上さらにこちらもあちらもわりと杜撰な作戦で行動するので観客のメタ視点抜きにしてもそうはならんやろ的なツッコミをしたくなる場面も多々ありどうしようかなという感じで見ていましたがカーアクション自体はなかなか迫力でそれに押し切られるチョロい私はけっきょくおもしろかったわーと劇場を出ましたとさ。主演のパク・ソダムは「パラサイト 半地下の家族」の妹役の人です。相変わらずかわいいしちょっとやさぐれて情に厚い役がハマってました。パラサイト以降引っ張りだこかと思ったらそれほどでもないようでもっと見てみたいですね。
6. あつい胸さわぎ
好きな作品です。港町で母・昭子(常盤貴子)と娘・千夏(吉田美月喜)のふたり暮らし。芸大に通い始めた千夏は課題で初恋の思い出をテーマに小説を書き始める。初恋相手は同じ大学に通う幼なじみの光輝で中学時代煮彼に言われた言葉が刺さり続けていることを初々しい表現で書き綴る。学校の健康診断で受けた乳がん検診で再検査となり精密検査を受けた結果により母娘の生活が一変する。と思われたが母娘の関係性や周囲の人間関係のおかげでこの壁を乗り越えていける、のか、という物語です。ネタがネタだけに暗く重くなりそうなところを母・昭子の天真爛漫なキャラクターとその母に育てられた娘・千夏が作り出す空気や悪意のない周辺人物たちにより適度にクスッとさせられて気負わずに見られる。この悪意のなさや千夏の出来すぎ感は都合が良すぎる気もするがこの作品に泥沼は求めないのでこれでいい。母娘の本当に些細なすれ違いがとてもリアルでもどかしい。勢いで友達のター坊やトコちゃんに酷いことを言ってしまいその場で自己嫌悪に陥り反省する千夏は母がそして自分自身が思う以上に大人かもしれない。ター坊のようなキャラクターの扱いは今の時代ではかなり慎重にならないと叩かれそうだが彼の「舐めんなよ!」は最高にかっこよくて最高におかしかった。郊外の映画館のレイトショーで私を含めた客4人が一斉に吹き出してワロタ。映画館ならではの体験ですね。千夏役の吉田美月喜は初めて見たんだけど初々しさと上手さが同居していて素晴らしかった。
ではまた2月分で。