ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

32. KAAT×城山羊の会『温暖化の秋 -hot autumn-』

www.kaat.jp

■作・演出
山内ケンジ
■出演
趣里、橋本淳、岡部たかし、岩谷健司、東野絢香笠島智、じろう(シソンヌ)
■会場
KAAT 神奈川芸術劇場 大スタジオ

 

若い男女が婚約報告で叔父の家を訪ねる途中。女性がカフェにマスクを忘れたことをに気付くふたり。そこへ通りがかる中年夫婦。マスクをしていないことを謝る若い女性。屋外だし全然気にしていないと伝える中年夫婦。しかし実は結構気になっている中年夫婦の妻。会話から全員がすぐそこの検査場でついさっき検査して陰性確認が取れていたことがわかり晴れて全員がマスクをはずす。よくわからないけど握手までして中年夫婦は立ち去る。そこへ通りがかる何やら訳あり風の男女。その女性がこれから婚約報告に行く男性に馴れ馴れしく声をかける。「むかし友達だった」らしい。婚約報告にむかう女性は気がかり。予定の時間を過ぎたことに焦れて迎えに来た叔父。さらに先程の中年夫婦が戻ってきて。言葉が足りない、話を聞かない、人類の2大欠陥に、コロナ禍のマスクに過剰な役割を担わせる罪を混ぜ合わせて煮詰めたかのようなカオスでナンセンスな会話。これをひたすら笑える人は城山羊の会に向いているし、イライラしてしまう人は向いていないし、ちょうど中間にいる私はわりと「マトモ」なのかもしれない。というわけで昨年の「ワクチンの夜」以来の城山羊の会です。いやー今回もおもしろかったー。たまらんね。作品がとにかくおもしろいんだけど岡部たかしと岩谷健司にはもはや条件反射で笑ってしまう。ズルい役者だ。相手に好かれるために過剰に気を使いそのことを咎められるとオーバーフローして泣く女性(趣里)、過去を引きずり言わなくていいタイミングでのひと言で疑心暗鬼を生み出す女性(東野絢香)、男性として(主語デカ)みるとどちらもひたすら面倒臭い。本当にどうでもいいことにこだわり絶妙なタイミングで蒸し返す中年男性(岡部たかし)、これは男女関係なく面倒臭いか。とにかく面倒臭い人間のオンパレード。2019年にロ字ック「掬う」で初めて見てこれはヤベー奴だなと思った東野絢香がさらにヤベー奴になっていて最高だった。いい年こいてまだまだ行けると思ってる距離感バグり中年妻(笠島智)が好きすぎる。私自身が中年になったからではなく若い頃からこういうほんのりエロスなおばさん(キャラ)が大好物です。ありがとうございます。おそらく初めて見るじろう(シソンヌ)、めちゃくちゃ良かった。コントに長けた芸人てすげーな。本作どのキャラクターも魅力的なんだけど訳あり男のじろう(シソンヌ)が最後に全部持ってった感がある。脚本通りでもあれだけ演じきるのは素晴らしい。温度の低い男を演じさせたら右に出る者はいない橋本淳、と言えるか知らんけど4月に観た「もはやしずか」といい本作といい見ている者をモヤモヤさせるのが上手すぎてイライラする。人生悟ってんじゃねーぞと老人から叱られそうな男、それが橋本淳(が演じる男)、テクニシャンだわー。趣里を見るのはは2017年の「陥没」以来だろうか。今回最前列を取れてしまい逆に見づらいかもと心配だったがホールではなくスタジオなのでまったく問題なくとても見やすくてほんの2メートル先に同じ目線の高さで泣いている趣里に思わずドキッとするなど。素晴らしい役者なんだけど空恐ろしさも感じる。

 

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