ミニマル・ミュージックの創始者、テリー・ライリーが1964年に発表した代表作「In C」。世界中のダンスカンパニーが挑み続けているこの名曲を、振付家・演出家 山田うん が2022年に蘇らせる。音楽制作はヲノサトル。衣装デザインは飯嶋久美子。不協和音が響きわたる時代に提案する、鮮やかな動きの骨格。12人の新進気鋭ダンサーとともに、今、立ち上がる。
「In C」はテリー・ライリーが1964年に発表したミニマル・ミュージックの出発点。53の断片を演奏者が任意に演奏し、単純な反復やわずかな音型変化などによって展開していく、ハ長調(コードC)の楽曲。この音楽の誕生は、それまでのクラシック音楽の文脈から離れ、現代音楽の枠組みを広げることに成功し、新しい音楽を作り出していこう、という運動を生み出していった。そして2022年、テリー・ライリーのオリジナルスコアをもとに、ヲノサトルによる演奏の「In C」、そして新製作の「In C」が誕生する。
■振付・演出・美術
山田うん
■作曲
テリー・ライリー
■作曲・音楽
ヲノサトル
■衣装
飯嶋久美子
■出演
飯森沙百合、河内優太郎、木原浩太、黒田勇、須﨑汐理、田中朝子、角田莉沙、 西山友貴、仁田晶凱、長谷川暢、望月寛斗、山口将太朗
■会場
KAAT神奈川芸術劇場
開演10分前に会場入りした瞬間の完全なるアウェイどあることがわかりました。岩を模したオブジェを持ったダンサーたちがスーパースローで動いてました。内容は一切調べずのこの日この場所この時間に観れるものをポチッとしたのでこれもまた想定内ではあるけどここまでのアウェイ感は久しぶりですね。現代音楽が鳴り続ける中でのダンスパフォーマンスらしい。現代音楽の知見のない私はこの時点で眠気との戦いになります。そしてダンスパフォーマンスですが、バレエのジャンプやターンといった素人にもわかりやすい派手なテクニックがあるわけではないので、どう見ていいのかわからないというのが正直なところ。わかる人にはわかる技術とかがあるのかなあ。そしていわゆる物語的なものもあるのかないのかよくわからず。例えば音楽の調性のようなせめて物語の調性みたいなものが軸となっていればそこを頼りに見ることはできそうなんだけど、それが見当たらないのでダンスパフォーマンス自体を感じるしかないんだけど、自分の中に評価の基準がまったくない分野については感じ方すらわからないというか。天も地も右も左もわからない空間に放り込まれてただただ不安定な感じ。例えば幼稚園でクラブミュージックを流して園児たちがデタラメに動き回っても園児という調性によって安定するんだけど、本作は無調で不安定でどうしたらいいのかわからない。これは批判や否定ではなく、この成分の受容体が私にはまだ無いというだけのことです。not for me の一言で済ませてしまうこともできるんだけど「わからないことがわかった」ので無駄ではないはず。まあそんな感じなので鑑賞中は「ダンサーたちはどんな過程を経てここへたどり着いたんだろう」とか「私以外の観客たちは何を感じているんだろう」とか「60分ほぼ出突っ張りのダンサーたちの消費カロリー凄そうだし食事が気になる」とか「あの人の股関節ヤベーな」とか本質でないことをずっと考えていました。何事も経験してみなければわからないのでこれからもどんどん経験していくぞ〜!
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