Billboard横浜にもKAATにもめぼしいイベントが無かったので横浜能楽堂のサイトを見てみたら狂言の普及公演がありました。昨年この横浜能楽堂で狂言と能を初体験しており能は正直寝そうだったんたけど狂言は面白かったのでもっかい見てみようかなと。しかも普及公演でたった2,200円でお話(解説)まで聞けてお得ですわ。
まずは「千鳥」です。これぞ狂言といった笑える作品。前回「二千石」を観たときに「ドリフ」みたいと書いたけど今回もまさにドリフ。「しむらー!うしろー!」的な展開に狂言素人も思わず笑ってしまう。格安の普及公演ということで私を含め狂言素人が多いだろう客席もいい感じに沸いてました。
そして「箕被」です。こちらは狂言には珍しく?爆笑モノではなく夫婦の情が描かれた作品で甲斐性なく遊び呆ける夫を咎める妻が夫に離縁を突きつけられ出ていく際の情景が見事に描かれており長年連れ添った夫婦の相性を「三日月(箕被き)の出(い)づるも惜しき名残(なごり)かな」「秋(飽き)の形見に暮れていく空」という歌で見せられじんわりします。歌はいいねえ。
主人から来客があるので、酒を一樽求めて来いと命じられた太郎冠者。
しかし長く支払いをしていないので、酒屋はしぶって売ってくれません。太郎冠者は「当座の代わり(今回分の代金)は持ってきた」と言って、なんとか酒樽を出してもらいます。
早速その酒樽を持って帰ろうとする太郎冠者ですが、そうは酒屋が許しません。
酒屋が話好きなことを知っている太郎冠者は、こないだ行った尾張の津島祭の話をして、気を逸らそうとします。
太郎冠者と酒屋の必死のかけひきが始まります…!
連歌(れんが)好きの夫(シテ)が、明日は自分の家で連歌の会を催すのでその用意をするよう、妻に言いつける。妻は貧窮の身で連歌の会どころではないと聞き入れず、どうしても会を開くなら離縁してくれという。これを承知した夫は、離縁のしるしを要求されて何もないので箕(み)を与え、その箕を被(かず)いて出て行く後ろ姿を見て「いまだ見ぬ二十日の宵の三日月(箕被き)は」と発句を詠みかける。これを聞いた妻が「今宵(こよい)ぞ出(い)づる身(箕)こそつらけれ」とみごとに脇句(わきく)を付ける。すっかり感心した夫は、妻の気持ちを理解してわびを入れ、めでたく復縁する。この付け合いの句は大蔵(おおくら)流であるが、和泉(いずみ)流では「三日月(箕被き)の出(い)づるも惜しき名残(なごり)かな」「秋(飽き)の形見に暮れていく空」となる。夫婦物の狂言としては珍しく妻の性格がおとなしく、俳味の漂う情趣豊かな曲。
◆今年の観劇一覧