廃業することとなった「びっくりサーカス・ノア」。
解団の日に集った団員は、今後の生活への不安や不満を口にしながら後片付けをしている。
殺伐とした空気を払拭するように、不遇の過去を持つ見習いクラウンがパフォーマンスを披露することになるのだが、サーカス団所有の象が業者に引き取られていないことが判明する。
金を持ち逃げしたオーナーとは連絡がつかず、残された団員で象の処遇を話し合うのだが…。
■脚本
齋藤孝
■演出
小林且弥
■出演
安西慎太郎、眞嶋秀斗、鎌滝恵利、伊藤裕一、伊藤修子、木ノ本嶺浩、大堀こういち
■会場
KAAT神奈川芸術劇場 大スタジオ
「る・ひまわり」って劇団かと思ってたら企画製作運営宣伝の会社らしいです。というわけで何も知らずに来てしまったこの公演。なんかチケットもやけに高いし実験的で難解なやつだったらどうしようかという心配をよそになかなかおもしろかったです。上記のあらすじの通りサーカスの象の処遇を巡り本音と建前が入り乱れる中で終始ヘラヘラして自分の意見を言わない見習いクラウンのバックグラウンドを観客に想像させるのがうまい。冒頭の匂わせと終盤の団長からの耳打ちで「ああ、そういうことなのか……」と。サーカス、そして、人間の尊厳を踏みにじる者が受ける報い、先日観た映画「ナイトメア・アリー」を思い出すなど。脚本演出はもちろんだけど役者が本当に素晴らしかった。7人それぞれ別の作品でも見てみたい。
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