ネットに影響される人の日記

ネットに影響される人の日記

影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2021年10月

10月が終わりました。9月分はこちらです。

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緊急事態宣言は解除されたんだっけ? なんかもうよくわかんないし個人的には普通に生活してるのでどうでもいいんだけど感染者数が減ってきたのは嬉しいですね。ロッパ来なくていいよロッパ。そういや10月から職場の体制がちょっと変わって外に出る機会が増えたので行く先々で美味いもんを食うことを励みに仕事をしてたらかなり久々に単月赤字を計上してしまいました。もちろんそれだけが原因ではないんだけど間違いなく一因ではあるので11月は緊縮財政です。はぁ、totoBIG当たんねえかなぁ。というわけで10月分、行ってみましょう。

 

100. 007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
いやー、アナ・デ・アルマスの谷間横乳最高でしたね。ああいうドレスってどうなってんの? 両面テープでおっぱいに貼ってんの? というわけでついに終わってしまったダニエル・クレイグジェームズ・ボンドです。私は007に特に思い入れもなく過去作も未見で、映画館に通い始めたのが2009年の秋なので、ダニエル・クレイグ版も「カジノ・ロワイヤル」と「慰めの報酬」には間に合わず、観たのは「スカイフォール」、「スペクター」、そして今作の3本のみとなります。とはいえ終わってしまう寂しさはありますね。どんな最後なのかは是非自分の目で。なんかまあいろいろあるけどやりきった感はあるかな。ラスボスがあまり強そうな感じがしなくてそこは拍子抜けというか。そういえば監督が日系だからなのかわからんけど日本ネタが多いというかラスボスは和の精神だし日本庭園だし舞台は北方領土近辺だしそんなやばいエリアにミサイル打ち込もうとする大英帝国やっぱやべーなと。満身創痍絶体絶命のボンドの頭上から手榴弾の雨が降ってきたのはドリフを思い出して笑いました。さて、次のジェームズ・ボンドは誰なんでしょうねえ。


101. 死霊館 悪魔のせいなら、無罪。
毎度おなじみ死霊館シリーズ。今回は家や土地に憑く悪魔ではなくオカルト好きの親に影響されてオカルトこじらせてカルトになった人が悪魔を召喚してしまった物語です。これは終盤に明かされるため、それまではどうも通常の悪魔の想定を覆すケースが散発して「なんやこれ」となるわけですが、前述のオカルト好きの親がダメ親というかどんなに道を外れても子供はかわいいもんなのかという、悪魔の物語ではあるけど親の責任の物語でもあります。今回いつにもましてウォーレン夫妻の夫のダメっぷりが冴え渡ります。能力者の妻だけでは物語にならないのでこういうダメ夫的存在は大事だよなあ。まだシリーズは続きそうなので引き続き楽しみですね。


102. 護られなかった者たちへ
奥貫薫西田尚美、内田慈、篠原ゆき子という俺得すぎるキャスティング最高。冒頭、「岬のマヨイガ」を思い出す。震災で身寄りの無い3人、けい(倍賞美津子)、とね君・やすひさ兄ちゃん(佐藤健)、かんちゃん(石井心咲/清原果耶)が一時的に共に暮らす。その後ひとりで暮らすけいさんの家を二人が訪ねると部屋は汚れ食料もほとんど無い。生活保護をすすめるが「国の世話にはならない」と。そこを説得して役所に同行すると扶養照会の話。けいさんには生んですぐに捨てた娘がいた。その子はおそらくその事実を知らず今は過程を築いている。けいさんは二人に黙って生活保護申請を取り下げ、そして孤独死する。ここから謎の連続殺人事件が発生し、やすひさ兄ちゃんとかんちゃんは以前のような仲睦まじい関係ではなくなっている様子。そして担当刑事の笘篠(阿部寛)も震災で妻と息子をなくし、息子の遺体は発見されていない。選択肢というものは余裕がある者に与えられる物であり、震災当時の選択(に思えてそれしかなかったこと)をトラウマとして持ち続ける苦しさ。セーフティーネットは誰のためにあるのか。終盤、海辺でやすひさ兄ちゃんが笘篠に告白した懺悔が残酷すぎたにもかかわらず「ありがとう」と言った笘篠の心の内を思い苦しくなる。震災を扱う作品はどうやっても賛否入り乱れるけど、私はよく作ってくれたと思う。


103. PITY/ある不幸な男
とある事件の被害により妻が昏睡状態に。毎朝号泣することから1日が始まる夫。息子との生活を気にかけてくれる隣人たちによりなんとか暮らす毎日。しかし、悲痛な夫に見えるこの男、どこかおかしい。朝、玄関前でそわそわして、ベルが鳴ると少し間を置いて出る、するとケーキを焼いて持ってきてくれた隣人。息子がピアノで明るい曲を弾いていると、やめさせて、悲しい曲を弾きなさいと。そんなある日、妻が突然目覚めて回復し退院したからさあ大変。大変? 今まで心配し同情してくれていた隣人たちのそれがなくなってしまったから。この男は同情中毒に陥ってしまった。妻が回復して家庭が元通りになることよりも、皆に同情され気を遣われ親切にされることに快感を覚えてしまった者の末路は悲惨だ。同情されるためのネタ作りに励むこの男がエスカレートした先にあるものは。私自身はほっといてほしいタイプで同情や気遣いがストレスに感じてしまうので全く理解できないけど、こういう人もいるんだろうな。妻が昏睡状態になる前のこの家庭この夫婦関係がどうだったのか気になるところ。


104. 神在月のこども
どういう経緯で作られたのかよくわからないオリジナルアニメ映画がたまにあるけどそんな感じ。悪い意味ではなく毒にも薬にもならないというか。母娘のジョギングシーンで始まるが既にその母は亡くなっており、走ることが大好きで得意だったカンナは走れなくなっていた。運動会から逃げたカンナが母の形見の勾玉ブレスレットを手首につけた瞬間、降っていた雨が止まる。そこに現れる鬼とうさぎ。母弥生は韋駄天の一族で毎年神無月(神在月)に出雲にあつまる神々のために全国を走り各地の馳走を集めて出雲の宴会に間に合わなければならない。この勾玉ブレスレットを付けると、あちら(現実世界)の1時間がこちら(勾玉時間)の5日に相当する。時間停止モノAVみたいなもんですわ。←おい まあX-MENクイックシルバーっぽいよね。終盤、好きなことを諦めかけるカンナが描かれるけど、これは子供たちにむけた教訓的な作品なのかな。おっさんの私には特に引っかかりもなく終わってしまい、不思議な感じでしたね。


105. 由宇子の天秤
瀧内公美、「裏アカ」でエロくて気になってる。河合優実、「サマーフィルムにのって」で気になってる。というわけで気になる役者2人が出てるということで観てみたら重すぎてワロタいやワロエナイ。男性教師と女子生徒の交際疑惑で女子生徒が自殺。加熱報道で男性教師も自殺。この事件を取材するドキュメンタリー監督の由宇子(瀧内公美)は父(光石研)が経営する学習塾で臨時講師もつとめる。そこへコミュ障気味の萌(河合優実)が入塾するが、ある出来事で萌の自宅を訪ねると貧困の父子家庭でネグレクトっぽい。ガスを止められている家庭の子が塾の月謝をどうしてるのか。由宇子の父が隠していることは。由宇子が取材中の事件は新事実により一転する。とまあ色々てんこもりのこの作品。見応えあったけどひたすら沈む。善人の被害者が狡猾な嘘つきだったら、正しさの追及中に自らの不正とどう向き合うか、ドキュメンタリー制作現場のあれこれもおもしろい。この作品、悲劇ではあるんだけど唯一の救いは、萌の父(梅田誠弘)は経済的な余裕の無さと年頃の娘との接し方のわからなさから結果的にネグレクトっぽくなっていたものの、きっかけ次第で娘への愛情表現ができたであろうこと。ちなみにエンドロールでプロデューサーのひとりに「片渕須直」を見つけて驚いた。


106. キャッシュトラック
ジェイソン・ステイサムが悲しみで爆発する作品です。なかなか面白かった。監督はガイ・リッチー。「ジェントルメン」とか「コードネーム U.N.C.L.E.」とか、ガイ・リッチーのアクション作品は楽しいな。まあ本作は息子を亡くした話なので全然楽しくはないんだけど、そこはステイサム無双でアガるわけで、肉弾戦も銃撃戦もたまらんのです。ある目的のために同僚のデイナとチョメチョメするんだけどそもそも悲しい物語なのでその後の展開がないのも寂しいよね。もう少し明るい話だったらもう一声ほしいところだった。そういや某所で某氏が言及していて面白かったのが防弾装備の進化っぷり。近距離のアサルトライフルを食らっても打撃はあれど貫通せずに動けるという。まあ連続で食らうとさすがに骨折とか内臓破裂とかしそうだけど防弾性能やべーなと。そういうところも面白かった。


107. DUNE/デューン 砂の惑星
マッドマックスとスターウォーズナウシカを混ぜた感じと言ったら怒られるんだろうか。褒めてるんですけどね。公爵が謎の皇帝に「おまえ砂の惑星アラキスを治めろよ」と言われて行ったら罠で殺されちゃって、息子のティモシー・シャラメと妻のレベッカ・ファーガソンが命からがら逃げのびるわけです。レベッカ・ファーガソンが若すぎてシャラメのかーちゃんに見えないんですけどね。あんなかーちゃんたまらんだろ。で、シャラメが何度も夢で見る謎の女ゼンデイヤゼンデイヤかわいいなー。シャラメは主人公なのでそんな夢の女とも出会っちゃうわけです。こんな感じでざっくりした全体像(クソ皇帝覚えてろよ)と各キャラクターの紹介で終わったのは○部作だから。「俺たちの戦いはこれからだ」みたいなラストで初めて気づいたよ。何部作なのか知らんけどサクサク撮ってサクサク公開してほしいねえ。そういや唯一の忠臣ジェイソン・モモアがこれで終わりなのもったいなくね。もうちょっと見たかったなあ。ところで同作品の制作に頓挫した模様が描かれた「ホドロフスキーのDUNE」のアレハンドロ・ホドロフスキーに本作の感想を聞いてみたい。


108. キャンディマン
「キャンディマン」と5回唱えると殺人鬼がとこからともなく現れて殺されるという都市伝説が都市伝説でなくなる物語です。製作・脚本に名を連ねるジョーダン・ピールは黒人差別をしっかり描くことに定評がありますが、本作はその中でも直球ど真ん中です。ただの都市伝説ホラーなら後味がもっと軽くなるんでしょうけど、これはなかなか重い。中盤以降にキャンディマン誕生の経緯が明かされると人間の愚かさに目眩がする。そしてエンドロールにもひと工夫あり、より辛くなる。現在進行系の情勢も思い出さずにはいられないしため息しか出ない。はぁ。


109. かそけきサンカヨウ
傑作「愛がなんだ」の今泉力哉の監督作です。高校生の陽は幼い頃に母が出ていき父とふたり暮らし。父娘への過程での母の役割を担う陽は放課後の友達とのカフェタイムもひとり早く帰る。そんなある日、父が再婚し、新しい母美子と4歳のひなたとの4人暮らしが始まる。突然の共同生活が始まる家庭、友達との関係、かつて出ていった実の母、静かに交差するこれらが違和感なく入ってくる。思いを寄せる男友達の陸のはっきりしない態度が生々しい。女友達の沙樹は母子家庭で経済的困難を抱える。裕福な陸が沙樹を心配する場面は見どころのひとつだと思う。高校生にして悟りすぎた沙樹が苦しい。沙樹を演じた中井友望もハマってたなあ。陽を演じた志田彩良がとにかく素晴らしかった。思春期の女の子を過不足なく表現できていたんじゃないか。ハロヲタ的には小関舞と為永幸音を足して割ったような顔。あとでググったらゆるキャン実写版の斉藤さんだとか。雰囲気全然違ってて気づかなかった。離婚再婚母子家庭、このあたりの経験者には刺さる作品かもね。


110. 最後の決闘裁判
「こんなアダム・ドライバーは見とうなかった」という作品でした。だってクズすぎるんだもん。フランス史上最後に行われた決闘裁判をもとにした物語。騎士ジャンの妻マルグリットがジャンの旧友のジャックにレイプされたと告白。ジャックは認めないが裁判で決着をつけたいジャンとマルグリットは正式に訴えを起こす。しかし1386年の出来事であり、人権のない時代の裁判に公正さなど無く真実の追及は二の次。訴えた者と訴えられた者が命をかけた決闘を行い、勝者の主張が真実となる、それが決闘裁判。決闘に先立ち行われる尋問が非科学的かつ非人道的でこれこそが中世かと。あまりの酷さに気分が悪くなる人もいんるじゃないだろうか。このような物語を本作ではジャンの視点、ジャックの視点、マルグリットの視点でそれぞれ都合のいい真実が描かれるという面白い構成になっています。ちなみに監督はあのリドリー・スコットです。また、同時期に公開中のDUNEが映像を絶賛されていますが、方向性は違えど本作の映像もなかなかすごいことになってます。とにかく胸糞物語だけど見応えは十分でした。


111. そして、バトンは渡された
血のつながらない親の間をリレーされ、これまで4回も名字が変わった優子。現在は料理上手な義理の父・森宮さんと2人で暮らす。どんなときでも笑顔でやり過ごす優子は同級生から嫌がらせを受けても笑顔でやり過ごす。なぜ優子はそうした処世術を身につけたのか。高校卒業を控え卒業式での合唱のピアノ伴奏に選ばれるがうまく弾けない優子。そんなときにピアノの天才早瀬くんに出会う。初対面ではあるけど実はもっと前に「会って」いたこと、早瀬くんの抱える家庭の事情。離婚再婚を繰り返す親に振り回される子供という描写はわりとよくある気もするけど、本作はその過程で実の母が消えてしまうため血縁なしの父子家庭を中心に展開する。旧来の家族観では不完全でデタラメな家族に映るかもしれないが、現実にそこにある家族の日常を見ればそれが紛れもない家族であることがわかるだろう。まあ、わかるわからないではなく、認めない「保守的」な人がそれなりにいることが悲しいんだけどね。早瀬くんが母親と喧嘩した話を聞いた優子の寂しそうな悲しそうな表情が苦しい。私も父と一度も喧嘩せずに父は死んだ。不完全でデタラメな家族が存在することを知ってもらえると嬉しい。


112. ハロウィン KILLS
当然のように人が殺されまくるんだけど、人間はここまで愚かになれるのかという辛みがブギーマンことマイケル・マイヤーズの恐ろしさを超えるレベルでしたね。精神科病棟を抜け出したマイケルじゃないほうの最後なんてもはや人類は滅びるべきですよ。本作は一作目の40年後という設定で当時生き残ったメンツが毎年ハロウィンの夜に飲み会を開くというシーンから始まります。その一人が今回大活躍()のトミー。「悪かった」で済む話じゃねーぞ! だいたいマイケル相手にバットでボコれると思ってる奴は結局足手まといになるんで一歩下がって勝手に死んでくれ! なんなのここは銃社会アメリカじゃないんか? ようやく出てきたせっかくのショットガンも台無し。とにかく打倒マイケルはわかるんだけどおまえらもっとホラー映画を見ろ! 見てホラー映画の定石を覚えてから出直しだ! という感じでとても楽しめたので次回作も楽しみです。(あるよね?) そういやマスクを取られたマイケルの後ろ姿が哀愁漂うサラリーマンのそれで、しかもハゲとるやないかい! マスクで蒸れたんだろうなあ……


113. ベイビーわるきゅーれ
好評なツイートはけっこう流れてきていて気になってたんだけど公開劇場が少なくてウダウダしてるうちに各地で公開終了してしまい見逃しちゃったなあと思っていたら某所某氏が感想upっててやはりおもしろいとのことで都内のキネカ大森で観れるということなのでサクッと行ってきました。殺し以外は何もできない社会不適合者の女子高生殺し屋2人組のちさととまひろ。真っ当な大人になるためにルームシェアしながらバイト生活をすることに。まひろはコミュ障すぎてバイトが続かない。一方ちさともまひろほどではないがうまく行かず、2人そろって紹介されて新たなバイト先がメイドカフェ。ここでちさとは隠れた才能を発揮するがまひろは相変わらずのコミュ障っぷりで2人の間にうまれる溝。ってここまで全然殺してないじゃんと思ったあなた、いやいや殺してます。この作品、殺し屋の物語なのでガンガン殺すし銃の扱いやバッキバキのアクションが見どころなんだけど、ジャンルとしては日常系ってことでいいんじゃないかな。殺し屋の物語ってその背景が描かれがちでそれによって重厚感が増したりするでしょ。この作品はそういうの一切描かずに2人のJKの日常を淡々と描いていて、たまたま得意なことが殺しだったという感じ。極論、得意なことが殺しじゃなくてゲームでも釣りでもいいんだけど、そこは派手なアクションを見たいし見せたいじゃん。だってまひろ役の伊澤彩織はガチのスタントウーマン。ラストのまひろと渡部(三元雅芸)のバトル最高ですよ。そしてちひろ役の髙石あかりのアクションも見応えあり。どこかで見た顔だなと思ったら舞台版「鬼滅の刃」の禰豆子じゃん。無料配信で観ていて「なんだこの動ける役者は」と驚いた記憶も。というわけでJKの日常とガチのアクション、一粒で二度おいしい作品でした。そういや「おでんツンツン」懐かしすぎワロタ。

 

ではまた11月分で。

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