ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

映画2020年11月

11月が終わります。10月分はこちらです。

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週末に気持ちのいい秋晴れが続いてバイクに乗る時間が増えたこともありあまり時間が取れませんでした。まあ「絶対に見逃したくない!」という作品が多くなかったというのもありますかね。そんな中で特にアンテナに引っかかっていなかったベトナム映画「昨日からの少女」は最高でした。技能実習制度の問題で日越関係に暗雲がたちこめているのが辛い。映画も含め文化交流が活発になるといいのだけれど、厳しい未来しか無さそうで辛い。というわけで11月分、行ってみましょう。

 

129. ストックホルム・ケース
ストックホルム症候群の語源となった事件をもとにした作品です。話は単純で、銀行強盗が人質とともに立てこもる中で共感、親近感、同情、愛情、その他諸々の感情で心の距離が縮まるってやつです。なのでこれといって見どころとかないかなーと思っていましたが最高でした。ヒロインのビアンカノオミ・ラパス)がめちゃくちゃキュートでチャーミングでたまらん。他のいろんなことはとりあえず置いといて、ビアンカで100点です。他にも強盗犯のラース(イーサン・ホーク)がいちいちジェントルで可愛かったり、その仲間のグンナー(マーク・ストロング)がキングスマンで見慣れているせいかヅラにしか見えなかったり、他の人質たちも含め徐々にラースに気を許していく様にニヤニヤが止まらん。ただ、正直気になるのは、実話ベースでどの程度の脚色が行われているのか。この作品はあまりにもロマンチックすぎるので、生存本能として犯人に親しい感情を持つことをきれいに描きすぎだとしたらそれはそれで問題ある気もするし。


130. 昨日からの少女
こういう見方は良くないなーと自分でも思うんだけど、これが日本の作品で見知った日本の役者たちが演じてたらベタすぎて見ていられなかったかもしれないな。ただ、知らない役者が知らない言葉で演じているからこそ見ることができるってのも実際あるしなあ。言い訳はさておき、ベトナムの青春ロマコメの傑作でした。突然歌い出すし妄想炸裂するしインド映画っぽさも漂わせています。ストーリーは幼少期に突然の別れで傷つきそれを引きずったままダメ男に成長したトゥーが、高校の同じクラスに転校してきたヴェト・アンに一目惚れするところから始まります。ヴェト・アンにさんざん振り回されるトゥーですが、勝手に振り回されているとも言えて笑えるあるあるネタ集みたいな感じで楽しいです。ヴェト・アンのトゥーに対する飴と鞭の匙加減が絶妙なんだけど、終盤の強すぎる鞭の結果は観てのお楽しみということで。2人の友人たち(ハーイ、ホンホア、チェウミン他)も含め若い役者たちがとても魅力的で素敵な作品でした。忘れるとこだった、子役ふたりが愛おしすぎる。


131. タイトル、拒絶
映画って主役を決めなきゃいけないんですかね。公式?には伊藤沙莉ってことになってるみたいだけど、全員主役といえる感じの作品でした。もちろん伊藤沙莉のストーリーもあるんだけど全編通してストーリーテラー的な役割でもあるので代表って感じなのかな。なんやかんあってデリヘル事務所で働いてる伊藤沙莉とデリヘル嬢たちと店長と運転手とオーナーの物語です。人気嬢の恒松祐里は「3D彼女 リアルガール」や「凪待ち」で気になっていて、今回の壊れた役柄も最高でしたね。ひと昔前なら佐津川愛美あたりがキャスティングされてそう。その佐津川愛美が情緒不安定な嬢をこれまた熱演で、昨年観た劇団□字ックの舞台「掬う」を思い出したりしてたんだけど、エンドロールに「□字ック」と出てきて驚いた。あとで調べたら本作は□字ックの舞台作品を映画化したもので、監督は劇団主宰の山田佳奈とのこと。舞台作品としての本作は観たことないけど、「掬う」と空気感が似てるなーと思いながら観ていたのでなかなか面白い体験でした。そして唯一の熟女嬢の片岡礼子。「楽園」「Red」「ステップ」でいちいち私を反応させる素敵な役者で今回もたまりませんでしたありがとうございます。指名するなら片岡礼子で。見下していた風俗嬢に共感を示されてキレながら泣いたリョウタがとても良かった。


132. 羅小黒戦記(ロシャオヘイセンキ) ぼくが選ぶ未来
バトルシーンがかっこいい映画は最高ですね。妖精の土地を開発で壊した人間、共存の道を選んだ妖精、反乱分子となった妖精、これらの関係が描かれた作品です。見た目も性格もわかりやすくデフォルメされた、言い方を変えればよくあるキャラクターたちですが、関係性が丁寧に描かれているので飽きも嫌味もなく楽しめました。たぶんこうしたプロットの作品はたくさんあると思うけど、冒頭にも書いたようにバトルシーンがめちゃくちゃかっこいいし、チカラの目覚め方とか「あー、あるある」なんて思いながらも、つい見入ってしまった。善悪の基準に揺れるシャオヘイがどの道を選ぶのか考えながら観てもいいかもしれない。中国のアニメ作品を観れる機会はまだまだ少ないだろうしそうでなくてもとても面白い作品なので、たくさんの人に観てほしいですね。って私が言わなくてもみんな観てるんだろうな。全席販売の映画館が満員でした。ただ、せっかくの素敵な作品に水を差すのもアレなんだけど「善悪を問う物語」が「検閲を通った作品」であることをどう受け止めたらいいのか正直困るな。


133. フード・ラック!食運
ダチョウ倶楽部の寺門ジモン監督作。どんなネタ作品なのかと思ったら普通に面白かった。焼肉を通した人情話で特に奇をてらったことをしていなくて王道の展開にグッとくるし、なによりちゃんと焼肉を食いたくなるのでこれは素晴らしいのでは。主演はジモンがモデルってわけじゃないんだろうけど、ジモンの面倒臭さが再現されててワロタ。ジモンと一緒に焼肉は食べたくないけど、ジモンが太鼓判を押す焼肉は食べてみたい。主演のEXILE NAOTOの顔がほんのりアンジャッシュ渡部っぽくてじわじわくる。そして土屋太鳳は安定の可愛さ。これもうほぼ満点なんじゃね。そういや久しぶりに見た竜雷太が痩けて見えたけどウィキペディア先生によるともう80歳だとか。表情の貫禄は相変わらずだけど、かつてあったガタイの威圧感みたいなものが薄れていたのが少し寂しくもあったり。なお公式サイトの「各界から絶賛の声」の中にはあちゅうがいたことをご報告いたします。


134. ばるぼら
not for meだったかなあ。原作タイトルは聞いたことあるけど未読。物語としては面白かったんだけど実写映画という形態にマッチしていないと感じた。現実離れしたキャラクターたちとその台詞回しが舞台っぽいというか、これ舞台演劇だったらもっと楽しめた気がする。映画と舞台の見せ方の違いってあると思うし。まあそんなこと言ったら漫画原作の実写映画は全部ダメじゃんて感じだけど、そこは作品ごとの色があるわけで、どんなにうまく作っても実写映画に合う合わないがあるんだと思う。あと、美倉(稲垣吾郎)とばるぼら二階堂ふみ)のセックスがあまりエロく見えなかったのが残念というか。やることやってんだけど、ゴローちゃんが綺麗すぎるのかな。終盤のおっぱい祭りは「形も大きさもいろいろだなあ」とほっこりしました。ところで美倉はばるぼらを愛していたんでしょうか。私にはそうは見えなかった。

 

135. ホテルローヤル
いきなりパンチラで星5つです、と思ったらおっぱいもあり満点です。という冒頭から始まる作品です。直木賞受賞時に結構話題になっていた桜木紫乃の小説が原作です。釧路のラブホの娘が両親や従業員や客や出入り業者との間で実感なく生きている様子が描かれるので一部の人は抉られるかもしれないなと思いながら見ていました。いろんな客の人生が垣間見れて面白いよねーという下世話な感じは無く、人にはそれぞれ事情があるということが短い時間ではあるけれど丁寧に描かれているのが良かった。従業員の余貴美子が自身の幼少期を回想するシーンに出てくる母が友近ってのがなかなか絶妙なキャスティングで素晴らしいんだけどコントにしか見えなくてワロタ。芸人意外の友近を想像できない! 伊藤沙莉はJK役でしたが先日「タイトル、拒絶」を見ていたこともあり、貫禄ありすぎてどう見てもJKには見えなかった。何組かのセックスが本作では描かれますが、一番エロくて最高だったのが正名僕蔵と内田慈のふたりでしたね。これから観る人はご期待ください。いろんな責任を抱えていく人生の中でも、自由になれる時間は大切だ。主演の波瑠が「傷ついた、そのおかげで実感できた」と発する場面は素晴らしかった。憧れと自傷行為紙一重の状況ではあったけど、間違いではなかったと思う。ちなみに全編を通して波瑠が美しすぎて若干浮いてる気もするけど両親が安田顕夏川結衣ならそうなるわな。どんだけ美形親子だよ。原作者の桜木紫乃も綺麗系ですよね。あ、安田顕の不器用なダメおやじ感はグッとくるものがあった。私も年をとったからだろうか。

 
136. ヒトラーに盗られたうさぎ
ヒトラーに批判的なユダヤ人の演劇批評家である父とともにドイツを出る一家の物語です。ドイツの絵本作家ジュディス・カーの自伝的小説の映画化だそうです。いやー、またとんでもない子役に出会ってしまった。アンナ(妹)とマックス(兄)が天才でしたね。亡命先のスイスでは異なる文化に戸惑いながらも男子顔負けの勝ち気な姿や、時折見せる大人びた表情、当然まだまだ幼い子供のわがまま、どれをとってもキュートでチャーミングなこの子の周りには笑顔が溢れてしまいます。そして既に世界を悟ったかのようなしっかり者のマックス。とはいえ遊びたいざかりの子供でもあるのでちょっとやらかしたりしますが、妹思いの優しいお兄ちゃんです。ヒトラーナチスがヤバいということはなんとなくわかっているけど両親が感じている危機感まではまだ理解できない年頃です。生まれ育った国、友達、大好きなメイドのハインピー、大切なぬいぐるみ、それらとの別れが永遠であることをまだ知りません。それでも持ち前の前向きで明るい兄妹は苦労しながらも亡命先に馴染んでいきます。が、父の仕事がない。家賃や食費にも不安を覚える生活に家族の空気もピリピリしてきます。さてどうなることやら……てな感じでわりとオオゴトが起こっているのにこの家族、とくにアンナのキャラクターのおかげで重苦しくなりすぎずに観ることができました。

 

ではまた12月分で。

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