ネットに影響される人の日記

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影響されたり、観たり、聴いたり、食ったり。

屍人荘の殺人 | 今村昌弘

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本格ミステリに名作は数あれど、名シリーズは割と少ないと思っています。
又更に言うなら「名シリーズである意味がある名シリーズ」は、そこから更に少なくなるわけですよ
それは言葉を選ばずに言えば、本格と小説が相反する要素で、それを異形の如く結合する本格ミステリそのものが抱える課題なんだと思っています

そんな、シリーズ物という難題に見事な解答を打ち出された

某氏のダダ漏れハイクの「名シリーズである意味がある名シリーズ」という言葉に惹かれて「魔眼の箱の殺人」(正確には箱ではなく匣のようです)をググったらシリーズ2作目らしくこれならまだ間に合うなということで1作目の「屍人荘の殺人」を読んでみました。これで10作目とか言われるとなんかハードル高いじゃないですか。気付くタイミングとか生まれる時代って大きいですよね。自分が追ってるシリーズ物で「どれがオススメ?」とか「どれから行くのが正解?」とか聞かれるのも困りますよね。まあ私は基本的に世に出た順至上主義なので聞かれたら「最初から」と答えるし、一方で長いシリーズ物に参入するときはとりあえず最新作で合う合わないを判断するし、要するにブレブレです。でも初めて観たX-MENシリーズがファーストジェネレーションだったのは運が良かったかなという気はしています。MCUアイアンマン2から入ってソーを観逃したまま今に至るというこれまた中途半端な感じで、まあ結局全てを制覇しなければならないなんてことはなく適当に楽しめばいいんじゃないでしょうか。こんな短い文章の中で二転三転して最終的にどうでもいい好きにしろとかなんなんだこれは。というかそもそも映画の話じゃなくて小説だよ小説。

で、「屍人荘の殺人」面白かったわー。ここしばらくSFばかり読んでた気がするのでミステリもやっぱりおもしれーなーと。ただミステリの感想は書けば書くほどネタバレに近付いてしまうので作文感想文論文の類が苦手な私には難しい。冒頭の設定は「えー?いまどきこんなベタな設定で大丈夫ー?」みたいな感じなのに、「野球の試合を観に行ったら、いきなり闘牛になるようなもの」という巻末の北村薫の選評がまさにという感じで、いま新しいものを読んでいるという感覚を味わえた。ミステリ好きは懐かしさと新しさを味わえるし、ミステリ初心者にはちょいちょい挟まれる解説的な部分で読みやすくなってるし、誰でも楽しめる作品だなと思います。ただ1つ残念なのは彼の扱いだよなあ。わかる、わかるんだけど、やっぱりなんとかならなかったかなあと。でもなんとかなっちゃったらラノベなんだろうなあとか。いやー難しいですね。まだ終わらない感がきちんとあるので「魔眼の匣の殺人」もそのうち読もうかなと。

ちなみに私はストレートに剣崎派なんですが、某氏は高木派ではないかと睨んでいます。蹴り潰されるのもまんざらでもない、みたいな。私は痛いのが苦手です。

本記事冒頭のハイクURL貼付はハイク終了とともにNot Foundになるんですよね?なので内容がダブりますがテキスト引用もしておきました。投稿機能を閉じるだけで残しておくことは難しいんですかねえと非エンジニアがぼやいています。インターネットの資産が失われるのは辛いなあ。

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